百歳への招待「長寿の源」食材を追う:フルーツの終着駅「マンゴー」

1998.11.10 38号 11面

珍しかった熱帯フルーツもスーパーで安売りされる時代に。マンゴー・パパイヤはエネルギーが低く美容・痩身食によい。果肉は柔らかくビタミンA・Cを多く含み高齢者用食にも最適。輸入急増で一段と安くなったので、ご愛用をお勧めしたい。(食品評論家・太木光一)

マンゴーはマレー半島・ミャンマー・インド北部が原産の熱帯フルーツであるが、現在では熱帯や亜熱帯地区に広く分布している。高温を好み最低限界温度は摂氏五度まで。しかも多雨・多湿の地では着果不良となる。

マンゴーはウルシ科の常緑高木で高さ三〇メートルにも達し、うっそうと茂る。葉は革質で披針形、表面に光沢があり長さ一〇~三〇センチ。枝先に白色の小さな花をつける。

品種は非常に多くインドでは二〇〇種を超える。果実は卵型、長だ円形、腎臓形などとさまざま。果実の長さは五~一五センチほどで重さは〇・一~二・五キロ。果肉の色はオレンジ色・淡黄色・白色である。

主産地は米国・ラテンアメリカ・南米・インド・東南アジアなど。インドのアルフォンソ、フィリピンのカラバオ、インドネシアのアルマニスが世界の三大優良品種。

複雑な甘さとともに独特の香りがあり、松ヤニ臭がプンと感じられる。柔らかでねっとりとして口にとける風味は濃厚。初めて食べる者にとっては異様とも感じられる。しかし慣れるとたまらない魅力となる。

これがマンゴーの醍醐味で、千金をはたいても食べる価値がある熱帯フルーツの王者と呼ばれるゆえんである。世界のフルーツのターミナル(終着駅)とみられ、一度味を覚えると必ずファンとなり消費は拡大する。

食べ方は、扁平で舌に似た種子が中央部にあるので、魚のように皮つきのまま三枚におろし、これをスプーンですくって食べる。種子には産毛のようなものがあり、このまま口をつけて吸うとまた美味である。

また果汁が多いので、ジュースを始めアイスクリーム・シャーベット・フルーツサンデーなどにも利用されている。生産地ではほとんど生果として食べられているが、若い果実の塩漬や砂糖漬、熟果を乾燥させたドライ・マンゴーも作られている。カレーの薬味としてインドのマンゴーチャツネは世界の名産品。

マンゴーの成分は一〇〇グラム当たりエネルギー六八キロカロリー、ビタミンA効力は八九〇国際単位、Cは二〇ミリグラム、特にAとCに恵まれている。その他カルシウムや鉄もみられる。

中国ではマンゴーを「〓果」と書き漢方薬材とみている。栄養分の高い果実として中国薬材大辞典にも紹介されている。これによると、性味は甘で凉。特に未熟果は果肉も固く酸味も強いが、抗菌作用が強く、大腸杆菌や化膿球菌を抑制する効果を持つと記している。主要な効能をみると益胃(胃を丈夫にする)・止嘔(はき気を止める)・去痰と止咳(せき止め)・利尿・眼病などに効果があり、お年寄りにもよい。

日本でも海外旅行者の急増でマンゴーに接する人々が増え、親しまれる熱帯フルーツとして人気上昇。現在はフィリピン・メキシコなどからの輸入も増え、九八年度は前年比四〇%増の一三〇万ケース(一ケース五キロ)を超えスーパーの特売にもみられるように変わってきた。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら