食の受発信基地FOODEUM(日清食品)

1998.11.10 38号 14面

「FOOD=食」と「MUSEUM=情報館」の二つの意味を合わせ持つ「食の受発信基地=FOODEUM(フーディアム)」、それは東京・新宿にある。(飲料も含めた)食という世界を深く探求する活動を目指そうと設立された。世界各国の食について興味のある人なら誰でも手軽な気持ちで、しかしかなり奥深く知ることができるという。話題の「食の受発信基地=フーディアム」とは「即席麺」というひとつの食文化を作りあげた日清食品(株)の東京本社ビルである。メーン商品のカップヌードルは誕生二七周年を迎え、いまや世界のカップヌードルとして君臨している。では、「食の受発信基地」の活動とはどのようなものか、同社広報部を訪ねてみた。

「フーディアム」ではフーディアムクラブを組織し、会員数は五千人にも上る。大きく育ったフーディアム、設立のきっかけなどから同社広報部・右近龍也次長に話を伺った。

「当社の社長は食文化の発展に力を注ぎたい、という思いを持ってこの東京本社ビル三階にキッチン設備のついた多目的ホールを設置しました。そして3階の全フロアを食の受発信基地として、本社機能の中核としようと決めたんです。それから私に広く大衆に貢献できるような、そしてコミュニケーションがとれるようなことを、ということで始めたのがフーディアム食文化セミナー。すでに一〇年、大変ご好評いただけて会員数も増え、現在ではセミナーのほとんどが抽選という状態です」。

では会員になるには?「入会金の三〇〇〇円をお支払いいただくだけです。会員には月に六~七回開催する食文化セミナーの案内を郵便でお知らせします。その中から興味のあるセミナーに申し込むというスタイルです。さらに年に四回季刊誌として食と生活文化のトータルマガジン『FOODEUM』を送付致します。また会員ではなくてもこの本社三階には『食の図書館』があり、誰でも自由に閲覧することができます」。

では、どのようなセミナーなのか参加者の声を聞きながらルポしてみよう。

10月中旬に行われた「フレッシュ洋梨のタルト体験学習」。当日の講師は洋菓子研究家の嵯峨井陽子さん。秋の味覚を満喫するタルト作りを学習する。参加者はおよそ六〇名。男性の姿もチラホラ、定刻通りにセミナーは始まった。

一見すると普通の料理教室。しかし「さすが」と思わせる違いは参加者の方々から聞けた。その一人、時田澄子さんは「フーディアムクラブの会員になったのは三年ほど前。入会した当時に参加したチェリータルト作りがとても分かりやすくて。家で何度も作りましたよ。今日もとても楽しみにしていました」。他にも「本物の味を覚えられることが魅力」「自分の都合に合わせ興味のある内容だけを選んで参加できる点が気に入っている」「前月に抽選に漏れると優先的に翌月は希望のセミナーに参加できることが嬉しい」など。

六人がけテーブルのどこに座っても先生の手さばきがよく見える。その訳は教室に置かれた八台のテレビモニター。「この部分をこうして、このように形どっていきます」という説明にも「なるほど」と参加者が全員一緒に相づちを打つ。

一貫したテーマは家庭で再現できる料理であること。ハイレベルの講師が本格的な内容を教え、参加者は本物の味を知る。さらに「家庭の場合は〇〇で代用して下さい」という家庭で再現するためのレシピも忘れない。

本格的インドカレーやベトナム最新食事事情をはじめ、イタリアン、フレンチ、中華、和食、それに手作りお菓子など世界の食、そして季節を意識した食をテーマとし目新しい内容を揃える。また「そば手打ち体験」は毎月開催している。

嵯峨井先生に今回のセミナーの感想を聞いた。「今日参加の皆さんはどのグループも和気あいあいとやって下さっていました。こういう雰囲気って結構難しいんですよ。料理に参加できない人が出てしまったり。でもフーディアムの教室は会員の方の質が高いので私も楽しくやれました」。

フーディアムの講師はそれぞれ会員の中にファンがつくほど評判が高い。また、講師陣にとってもフーディアムは一度はやってみたいステータスなセミナーだという。フーディアム食文化セミナーは食の業界で働く者にとっても注目するハイレベルな内容。今後ますますの発展を期待したい。

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