「茶道は日本の総合芸術」いつもみずみずしく健康で 裏千家教授・米澤宗美さん

1996.01.10 4号 3面

「茶道の道は健康への道でもあります」と語るのは、裏千家教授・米澤宗美さん。作法の厳しい茶の世界では、背筋が伸びた良い姿勢が基本となる。「老衰といいますが私は老水だと教えていただいたことがあります。その方は九二歳現役で同じお茶の先生ですが、本当にみずみずしい肌でいらっしゃる。美肌はお茶に通ずるがごとしです」。お茶をたくさん飲み体内にたっぷりと水分を摂ることで、いつもみずみずしく健康でいられるということだ。

米澤さんは現在、横浜三越レディスクラブ、京王プラザホテルレペテなど月に一五教室を受け持つ。一回の稽古は三~四時間。生徒は小学生から七〇歳代の総勢一〇〇人にも及ぶ。最近は海外留学を経験した方々が日本の文化を海外で紹介したいと学びにくるそうだ。茶道は作法に始まり書、花、器(焼き物)、着付、和菓子そして禅語と学ぶことが多い。茶道が日本の総合芸術といわれるゆえんだ。

茶道の心得を聞いてみた。利休の教えとして次の七則があるという。

茶は服のように点(た)て、

炭は湯のわくように置き、

冬は暖に夏は涼しく、

花は野の花のように生け、

刻限は早めに、

降らずとも雨の用意、

相客に心せよ

茶道の心得とはわが生活の心得と胸に刻み、本年をスタートしたいもの。

茶道では1月7日頃からお家元、あるいは教授宅で初釜の席を設ける。茶の道を修める者にとって初釜とは新春を祝い、一年の無事を祈り、そして稽古初めの釜となる。

茶の世界では三度「正月」がある。11月に「炉開き」、同じ11月に「口切り」、そしてこの初釜とも呼ばれる「新春」である。実際に先生のお手前を生徒が拝見できるのはこの初釜の席だけという。

三度の正月に設ける茶会の席では通常いただく薄茶と、それに加え濃茶をいただく。薄茶は茶筅(ちゃせん)であわだてるように点(た)てられるが、濃茶は練るように点てられるお抹茶。席に居合わせた客人数人で一つの碗を順々にいただく。最後になる客人でちょうど飲みほせるように皆でいただく形式。一味和合で福を分かち合うという意味だ。

茶会の席はいずれも張りつめた空気がみなぎるが、特にこの初釜は一年の帷(とばり)を開く厳かな席になる。