秘伝“年金上手”のチエ(1)激変する年金制度、現役延長がポイント

1996.01.10 4号 7面

●65歳現役社会へ

昨年暮れのウィンドウズ騒動にリンゴの安売り。パソコン業界の動きは『昨日のOKは今日のNO』と言われるほどめまぐるしい。また、平成7年は年金にとっても激変の年であった。「60歳引退社会から65歳現役社会へ」をスローガンに、人生80年時代にふさわしい年金制度を目指し、急ピッチで改正が進められている。ただパソコンと違うのは、年金のことは知らないでは済まされないこと。人それぞれ、夫婦でも違うものだから、自分のお金は自分で守る。「よくわからないからその分野は若い者に任せる」とか「妻に任せる」というわけにはいかないのだ。つねにアンテナを張り巡らせて最新情報を得る努力をするか否かで、百歳元気ライフも違ってくる。

年金払込終了、定年退職、年金受給開始などなど、60歳の誕生日は安穏と迎えてはいられない。引退高齢者の収入源の内訳では約七九%が公的年金。いくら年金をもらえるかを知るには、六〇年間の人生をふりかえり総決算しなければならないのだ。そして、これからの生活設計を考える。このさき働き続けるのか、そこに住むのか、自分の病気は治せるのか、子供は頼りにできるのか、親の介護はいつまで続くのか。予定通りにいかないのが人生とはいえ、60歳の決断はその先の人生を左右する。

●引退後の生活費は?

明治生命ファイナンシャルセンターの調べによると、引退者が夫婦二人で暮らしていくために日常生活費として月々必要な額は、平均で二六・三万円。さらに、引退者を『第一線引退組』と『無職組』に分けて違いをみると、前者の平均生活費は二七・七万円、後者は二五・二万円で二万円以上の開きがある。年齢別にみると、とくに六〇代後半ではその差が四万円も開いている。健康状態別では、健康な者ほど有職者が多いため最低日常生活費も当然高い。クオリティオブライフの実現には生涯現役が理想。それにはやはり健康で働けることが一番というこだろうか。

●就労意欲を損なわずに

実は今回の年金改正のポイントはそこにある。「21世紀の超高齢社会を活力ある長寿社会とする」ため「希望すれば少なくとも65歳まで働き得るような社会の仕組みをつくり上げる」。厚生省は六〇代前半の年金の在り方に注目、「働くことによって総収入が増加する」ように在職老齢年金を雇用促進的な仕組みに改めた。

さらに労働省でも、65歳までの継続雇用対策を強化したり、雇用保険法の見直しを図った。とかくヨコの連携が問題視されるお役所だが、初めて厚生省と労働省がリンクする政策を実施したのだ。

○…金さん、60歳になると老齢基礎年金が受けられるって聞いたことがあるんだけど、確か基礎年金って65歳からじゃなかった?

金さん…その通り。希望すれば60歳から64歳までの間でも繰り上げて受けることができる。でも、年齢によって減額されてしまうんだ。また逆に、66歳以後に繰り下げて、増額された年金を受けることもできるよ。

○…じゃ、60歳から減額でもらっても、65歳になれば元どおり満額になるんでしょ?

金さん…チッチッチ、そこが落とし穴。60歳からの受給ならたとえ65歳になってもマイナス幅は一生涯変わらないんだ。それも覚悟しておかなければ…。

○…ふ~ん、つまり長生きするなら遅くからもらう方がトクってわけネ。でも、自分がいつ死ぬかなんてわからないし、60歳からの生活も決して余裕があるわけじゃないのよネ…。

金さん…人間一人ひとり、健康状態も千差万別だし、そのときの経済状態にも差異があるだろうから、その年齢になったら、しっかりとした知識をもって判断しよう! 自分の身体の調子でも自分ではわからないこともある。しかも制度は刻々と移り変わっていく。健康な人でも定期的に成人病検診をするだろう? それと同じに社会保険事務所の年金相談コーナーを利用しよう。早期発見・早期治療は年金も大事。わからないからやらないのでなく、どんな小さな疑問でも前向きに元気に解決してみよう。

(指導=社会保険労務士・中村雅和氏)