だから素敵! あの人のヘルシートーク:ジュディ・オングさん

1996.01.10 4号 10面

感情を込めて、ボディランケージも加えながら話すジュディ・オングさん。何ごとにも積極的に進んでいく女性という印象だ。その中にも女性本来の美しさと輝きを保ち続けるその秘訣を聞いた。

ワールドビジョンという国連に認められたボランティア団体の日本の親善大使をしています。昨年の阪神大震災の時もワールドビジョンの方が大勢きてくださいました。私は歌手仲間で橋幸夫さんを先頭にコンサートを開き、募金を集める活動に参加しました。焼石に水なんだけれど、それでも少しずつ積み重ねていけばやっぱり良くなってくる…。

私は、幸せを持っている人が自分が幸せだと思えて、その上に少し余裕ができたら、その「ちょっとの部分の幸せ」を人に分かち合っていこうと考えます。シェアすることとチャリティをくっつけて「シャリティ運動」と呼び、提唱しているんですよ。

私たちはみんなに歌を聞いてもらい、元気になっていただくのを望みとする仕事です。その私たちが出ていくと少しはお金も集まる。だからこのような活動は芸能の人が先頭に立って進めていかなければならないと思い実行しています。

何か問題が生じた時、人間には二つの矢がささるといわれます。第一の矢は、事が起こったその時にささり、ショックが大きい。第二の矢は、どうしてそんなことが起こったのかと考えてしまう矢です。この第二の矢に時間をとられてしまいなかなか前に進んでいけない。いつまでもクヨクヨするのはやめようと努力すべきです。私もなかなかできないんですけれど、足をけとばしたり、つねったりして切り替えていくんです。

人間ほど教訓を覚えない生きものはないですね。いつまでたっても戦争をするし。教訓を覚えて同じ間違いはしないようにしたいものです。私は常に明るい言動を持つようにしています。クヨクヨして笑顔を忘れたら、不健康になります。年中怒っている人も顔色が悪くなりますよ。胃とか内臓がエンスト状態になって気持ちが悪くなるからです。おだやかな気持ちを保ち、笑顔でいることが健康につながります。

最近主人が少し太り気味になってきたのが心配です。私の作ったものを食べてくれるのは嬉しいけれど、太ると心臓に負担がかかったり血圧が高くなったり、いいことはないですから。夕食を減らして朝食をたくさん食べるように工夫をしています。

一人でダイエットするのも気の毒だから、一緒に食べる量を減らしたりしました。

私はやせてきたのに主人は変わらない。おかしいなと思っていると、夜中にこっそり食べたりしているんです。追及してもとぼけられちゃって。

でも、部下を多く持つ人はストレスも多くなる。ストレスを受けとめるためのエネルギーを作るためには、食べなければいけない。だからバイタリティーのある人はみんなよく食べますね。そのことは理解できるんです。だから主人にはまとめて休養がとれる時に断食を推めています。

主人が利用する淡路島にある断食道場は、全く食べないのではなく食を矯正するんです。最初は流動食から始めますが、昆布とかバナナとかをジュース状にしたバランスのとれたものです。

それだけをコップ一杯三食飲むこと一〇日間。すると内臓に残っている余分なもの、宿便もすべてとれます。それからおかゆ、ご飯と普通の食事に戻していくんです。道場から戻るとやせているし眼が光っています。

心身ともに休養をとることでエネルギーがみなぎってくるんです。

「お茶でも飲もう」っていいますよね。人は行き詰まった時、いい香りを嗅いで、深呼吸をすることでリラックスできるんです。呼吸と一緒に邪気が出て行く、つまり今流行しているアロマセラピーです。

私もその日の体調に合わせてお茶を選びます。ジャスミン茶は気持ちがフウッとやすらぐし、寝る前に菊茶を飲むとぐっすり眠れます。油っこいものを食べた後には体内の油を外に出すプアール茶。日本茶ももちろん飲みますよ。酸化を防ぐ作用があるから老化防止になります。

本来お茶は漢方薬とされていたくらいですから上手に組み合わせて飲んでいます。基本的にどのお茶をいただく時も温かいお茶にしています。女性は温かいものをメーンに摂らないと年をとってから身体にきますよ。

今の若い女性は超ミニスカートをはいて冷たいものを飲んだりしていますが、身体には良くないでしょうね。

中国の人も台湾の人も本当によくお茶を飲みます。お友だちを呼んではお茶をいれて新しく買った壺の品評会をしたり。私の母や祖母がお客さまをお茶でおもてなしをしている光景を今でもよく覚えています。子どもながらに「いい匂いだなあ」と思っていました。その席でもやはりお茶を楽しむだけでなく、骨董品や宝石など様々な美術品を鑑賞しながら過していました。

今では日本でも中国茶は馴染み深いものとなっています。そこで文化的背景も含めた「中国のお茶」を紹介したいと願い、南青山に「普楽華(プロバ)茶藝館」をオープンしました。

このお店で紹介している功夫茶(くんふうちゃ)とは日本の茶道にあたり、中国では「茶芸」といわれます。

元気になって太らない食べものを昔の中国の人はよく知っていました。私も祖母や母からたくさん教えてもらいました。一人のお年寄が亡くなると図書館が一つ減ってしまったといわれます。お年寄の持つ知恵を私たちはもっと大切にしていくべきですね。

小さい頃母から「きょうは水泳に行って太陽にたくさん当たったからウリ科のスイカを食べなさい」とかいわれました。身体に火が起きる、つまり熱が出たり吹出物ができたりすると、火を取り去るために寒の食べ物を食べるんです。元気をつけたい時は鳥を何時間も煮て朝鮮にんじんを加え、上に浮いてくる油は捨てる。なつめやゴマ油も加えていただくと身体が暖まり元気になります。そして太らない。日常の生活で体調に合わせ寒のもの、温のものを使い分けて食べることを中国の人はみんな教えられ知っています。

和食も薬膳になるんですよ。だいこんは生で食べると寒ですが炊くと温になります。貝は寒、あわびの天日で干したものは温で身体にとてもいい食べ物です。日本には四季がありますから旬のものを食べることが一番です。

中国のお正月は家主の長老が朝6時に大門を開きます。一番上のお兄さんから順々に長老に新年のあいさつをします。長老は各々に「紅包」(ホンパオ)と呼ばれる赤い紙袋を下さるんです。日本のお年玉のようなものですが、昔は皆長老からいただいたお守りとして、その年一年大切にしていました。でも今は使ってしまう人もいるようです。

中国の人はファミリーをとても大切にし、目上の人を敬いますから、各家の長老へのあいさつはかなりの人数になります。

正月の料理では魚が必ず入ります。日本では「めでたい」として「鯛」を出しますが、中国では、「年年有余」(ニェンニェンヨウユイ)と言い、「余」(ユイ)の発音が「魚」と同じことから毎年福が残り続きますようにとの願いが込められています。そして豚料理。これは今年も何ごとにも肥えますようにという願いが込められています。お菓子にはお饅頭ですが、寿桃と呼ばれ桃を形どったお饅頭を並べます。

最後に、冬によく食べる私のお推め薬膳メニューは「砂鍋全家福」(サーグオチュアンジャフー)‐‐。全ての家が幸福になるというスープをご紹介します。

●材料(4人分)=豚肉80g、豚筋肉80g、鶏砂肝(すなきも)50g、芝えび(むき身)4尾、ゆで竹の子40g、しいたけ2枚、白菜3枚、青梗菜2株、ハム40g、春雨30g、鶏がらスープカップ21/4、紹興酒大さじ2、サラダ油大さじ11/3、塩小さじ1、こしょう少々

●作り方

(1)豚筋肉は弱火で2時間煮込んで柔らかくし、ひと口大に切り、春雨は熱湯に15分つけてもどし、食べやすい長さに切っておく。

(2)豚肉、ゆで竹の子、しいたけ、ハムは大きめの拍子木切りにする。

(3)砂肝は2等分してから切り目を入れる。

(4)白菜は食べやすい大きさに手でちぎる。

(5)芝えびは背わたを取り、青梗菜は根元を縦割りに6等分する。

(6)なべにサラダ油を熱し、(4)を炒めてから鶏がらスープ、紹興酒、塩、こしょうを入れ、さらに(1)、(2)、(3)、(5)を加えて煮込む。

(7)卓上用のなべに移し、食べる直前に、一煮立ちさせる。

◆プロフィル

台湾生まれ。3歳のときに来日。一九七九年「魅せられて」でレコード大賞受賞。昨年9月には「北京平和コンサート」を主宰し世界を舞台に多彩な活動を展開。10月には母国台湾で「勲一等華光奨章」を受章。これは海外で活躍する華僑に与えられる章で李麗華、テレサ・テンに続き三人目の受章。歌手として、司会者としてテレビ・舞台で幅広く活躍中。

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