だから素敵! あの人のヘルシートーク 俳優・三浦友和さん
家族のそれぞれが希望する総額300万円の賞品を、父親が番組からの「宿題」をクリアできたら獲得できるというTBS系の人気バラエティー番組「しあわせ家族計画」が、松竹で映画化される。主役はあの三浦友和さん。二枚目で硬派の三浦さんが、コミカルなお父さんの奮闘ぶりをどう演じるのか。プライベートの父親の顔と合わせインタビューした。
物語の舞台は、現代をそのまま反映しています。不況の中、主人公はある日突然、勤めていた食品会社から解雇通告を受ける。本来なら解雇の理由にはならないような理由で、体よくリストラされてしまうわけです。
それも社宅に住んでいたので、まずそこを出なくちゃならない。急きょ、妻の実家の和菓子屋さんにお世話になるんですが、すぐに職が見つかるわけでもないので実家の雑用をしているうちに、子供が面白半分で応募したテレビ番組に当選して、出演の話が舞い込んで、てんやわんやになるという内容です。
転がり込んだ和菓子屋さんは、将来的につぶれるかもしれないという状況。僕の役の父親はなかなか職が見つからない、見つかったと思ったらその話はウソだった。子供は子供で、娘は登校拒否だったり、息子は運動神経が鈍くて野球の仲間に入れてもらえない。家族のみんながいまの閉塞状況から抜け出したいと願っているのになかなか叶わない。そんな中、テレビ番組に参加するという形を借りて、みんなが何となく一つになっていく、そんなストーリーです。
僕の父親は定年退職するまで大企業に勤めるサラリーマンでしたが、まだリストラという時代でなかった。定年退職までほとんど勤め上げるという時代でした。
僕はいま四六歳ですけれども、もちろん友人にサラリーマンもいます。ちょうど責任を担わされる年齢ですよね。本当なら、いまからだという時に、リストラされるという状況にいつもびくびくしなくてはいけないというのは、非常につらいと思います。
不幸な時代に生まれちゃった感じがしますよね、団塊から四十代前半にかけての世代は。バブルの時はまだ下っぱで、主任とか係長ぐらい。それがやっと自分の番になったなという時に不況になって……。
そうした同世代に向けて今回の映画がひとつのエールになればいいのですけれど。僕らは学歴社会といわれた中で生きてきた世代です。それがうち崩された。ではここで逆に“どうやって生きていけばいいのか”とか、“何で生きているのか”とか、単純な疑問をもう一度考え直すいいチャンスと捉えることができれば、前向きにいけるかなという気がしますね。
いま、何が幸せなのかという青臭い疑問が、もう一度問い直されているかなと思います。
プライベートの話では、うちの場合は子供との会話は異常なほどあるんですよ。中学生になったらもうそっけないだろうと思ってたら、まだ一緒にお風呂に入りにくるし、わあわあしゃべってくれるし。自分の中学時代は、父親と口を聞くのは嫌でしたから、きっとうちの子もそうなるだろうと思っていましたが、全然ならないんですよね(笑い)。どういうことかなと思ってますけれどもね。まあ、女房(百恵さん)がそういう子に育ててくれたという感じです。
子供とうまくやるために意識的に何かしているということはないです。(うまくいってるのは)本当に女房の力だと思いますよ。責任を負わせるつもりはないけど、相当なリスクは背負ってますね。ものすごい力が必要だと思います。
でも、素直なことが将来的にいいのかなという問題もあります。大人にとって「いい子」が将来いいのかという。大人の都合のいい子に育ってしまってもしょうがないですから。その辺の怖さはありますよね。
どうやって接したらいいかなんて永久に分からないかもしれないですね。親なんて反面教師でいいという時もありますから。
健康管理術ですか。恥ずかしい話なんですが、この仕事をしていると食べ物の管理ができないんです。現場に入ると大体お弁当ですしね。時間も不規則なんで、パンでいいやということにもなります。どうしても栄養のバランスが取れなくなりますね。だから栄養剤とかに頼っています。ビタミンCとビタミンB1は必ず、毎日。もう一〇年くらいでしょうか。それと、プロポリス。これは二年くらい続けています。
いい仕事を続けていくためにも健康は基本ですから、できる範囲で気を遣いたいですね。仕事は、やはり映画にずっと関わっていきたいという気持ちがあります。いま日本映画は難しい時期ですけれど、だからこそ何とかしたいという気持ちでおります。僕にとって、ここがサラリーマンの皆さんと同じ現場ですから。