中国・四川省の山奥に眠る秘薬「サージ」
パンダの生息で有名な中国四川省の自然保護地区。標高二○○○~三○○○メートルの山中にひそかに流れる清らかな川がある。一切の汚染を受けない人跡未踏のその川沿いに、赤や黄色の小さなかわいい実をつける『サージ(沙棘)』という植物が自生している。
グミ科のこの植物は貧弱な土壌や厳しい環境の中でも生育できることから「生命の実」「砂漠の人参」という別名をもつ。その果実から抽出されたオイルは、中国西域で古くから民間の健康食品として親しまれてきた。
なにより注目すべきは、老化、病気の素といわれる身体の“錆びつき”を抑える抗酸化物質が非常に多いこと。ビタミンEの含有量は果樹植物でトップクラスといわれ、ほかにも野菜の数倍に達するカロチンや各種フラボノイド類、また身体に有用な油脂成分、リノール酸とアルファリノレン酸もバランス良く含まれている。
私たちが吸い込んだ酸素の一部は、体内で酸化し「活性酸素」に変化して、内臓や組織、細胞にさまざまなダメージを与え老化や疾患を引き起こす。まして現代人の日常生活の中には、もろもろのストレスや長時間の激しい運動、紫外線を大量に浴びることなど、酸化促進の要因があふれている。
もともと人体には酸化や活性酸素に対する防衛機能が備わっているが、現代の食生活においてはそれでは不十分。抗酸化作用のある食事を心掛けるなどのフォローが健康維持には必須といわれている。
非常に強い生命力をもつ植物・サージは、人間の身体の中でも免疫力を高め若さを保ち病気を防ぐ力となってくれる。ストレスまみれなわれわれの強い味方なのだ。
サージ油は一トンの実から二キログラムしか手に入らないほど貴重品だが、最近、高品質なサージ油を抽出する方法が中国で開発され、数年前から北京などの大都市で健康食品として注目を浴びるようになった。すでにアメリカのFDA(食品医薬品局)の認可を受け、アメリカ国内では栄養補助食品として販売されている。
サージ油の抗炎、粘膜修復・組織再生作用と免疫機能向上作用を利用して、中国ではさまざまな臨床と治療を行っている。とくに消化器系の潰瘍(胃炎、食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、直腸炎など)、がんの補助治療(抗がん剤&放射治療による血液の毒性と消化道不良反応を軽減)などが脚光を浴びている。また口内炎、外傷(火傷、放射治療による皮炎など)に外用疾患の治療や、美白・美容用の化粧品もたくさん開発されている。サージの果肉や果皮からの水抽出成分であるサージフラボノイドは、脳・心血管の循環を改善し、コレステロールや中性脂肪を下げるので生活習慣病対策に最適である。