元気はきれいな血から、鉄人への近道
中医薬では、貧血は『血虚』の人に多いと考えられる。また「胃腸が弱いために鉄分などの栄養素の吸収が悪くなっているともいえるため、『血』の不足を補強する一方で、胃腸などを活発にする漢方薬が同時に処方されます」とイスクラ薬局原宿店の邱紅梅先生。「お金と一緒で、多く持てば『豊か』という訳ではありません。大切なのは、鉄分を上手に吸収して利用できる身体にすることなのです」。
海の遠い信州人の昆虫食は有名。サワガニ、ゲンゴロウ、カイコのサナギ、まゆこ、イナゴ、ハチの子、ザザムシなどが、貴重なタンパク質源として役立った。特にハチの子とザザムシは、タンパク質の他、脂肪・ビタミンA・B群、そして鉄分も多い。
ハチの子は、クロスズメバチ(俗称すがれ、地バチ)の幼虫である。伊那谷ではこのハチの巣を見つけることを「すがれ釣り」と呼び、9月から11月にかけて行われる。伊那地方ではハチをとる名人が多すぎて、今ではあまりとれず、那須高原産のものが長野県に移入され加工されている。
ザザムシは、渓流魚を釣るときの餌にする水棲昆虫。これは諏訪湖から流れ出す天竜川の浅瀬で、厳冬期の12月から2月の三カ月間に鑑札を持った猟師によって採られる。砂糖醤油で煮て、みりんや酒で味付けをして佃煮にする。「ただ今年は気候の関係でザザムシが全く採れません。梅雨時、川の石が大きく動いてしまったのがザザムシの生態系に影響したようです」と㈲かねまんの池上社長。
昆虫食といえば、一般にゲテモノ食いとみられるが、世界には愛好者が多い。ハチの子缶詰やザザムシの唐揚げは一時盛んにアメリカなどに輸出されていた。タイや中国でも伝統的に昆虫食がみられ、栄養学的に大きな意味を持つ。
鉄びんや鉄の中華鍋など、鉄製の調理器具を使うのも鉄分を補う一つの方法。鉄製の調理器具からは、調理中に適量の鉄分が出て材料にほどよく溶け込み体内に吸収される。
ホーローやステンレスなどの鍋で味噌汁や煮物を作るときや、アルミのやかんで湯を沸かすときには鉄釘を入れておくと、簡単に鉄分が補給できる。「鉄分は酢を加えることでさらに溶けだしやすくなります。ただ鉄の味が強くなり過ぎると料理の味を落とすこともあるので使用量はほどほどに」と元岩手大学の及川恵子教授。
その他、鉄釘の効果
○茄子漬けを作るとき古釘を入れると、野菜の持つ葉緑素の色調を鉄のイオンが発色・固定して色を一層鮮やかにし、変色を遅くさせる
○黒豆を煮るときにも鉄釘を入れて煮ると、黒豆の光沢が冴えて見た目も良くおいしく煮える
○貝類の下ごしらえ“砂出し”をするのに、鉄釘を一緒に入れておくと、早くきれいに砂をはく
▽安全により楽しくヘルシーに料理ができる『健康鉄だるま』(写真中央)。
水1リットルを沸かすとき、やかんに1個入れると、沸騰時0・042ミリグラム、3分後0・050ミリグラム、10分後0・069ミリグラムの鉄分が溶け出す(及源鋳造研究所測定)。1000円。(及源鋳造(株)、0197・24・2411)