百歳への招待「長寿の源」食材を追う:セリ
セリは日本原産のセリ科の多年草。日本では北海道から沖縄まで広く野生種が分布している。日本以外では朝鮮半島・中国大陸・インド・マレーシア・インドネシアなど東南アジア一帯からオーストラリアまで広い範囲にみられる。
セリは中国語で「芹(クイン)」と呼ばれ、漢方薬材として二〇〇〇年前から利用、欧米ではこれを食べる習慣はみられない。
性状は好湿性で寒さに強い。早春に水辺や湿地、渓流・水田などに好んで群生する。和名のセリは「清水の涌く所に競り合って密生する」ところからきている。春の七草のトップにあげられ、根・茎・葉ともに食用となる。根を最も賞味し、「根ゼリ」「根白草」の名前が残っている。元来セリは野生植物であり性状は強く、品種としての分化はないが、小川や湧き水のものは水ゼリ、田の畦などに生えるものは田ゼリと呼ばれていた。
現在セリは茎や葉が緑色で軟白したものが好まれ、良質のものを作る条件は豊富な水、良質な水と水温にある。京ゼリが最高品質で味・香りともに優れている。
特に早春に摘むセリは香りと歯当たりが良く、ゆでて浸し物・ゴマ和え・汁物・鍋物などに利用。天ぷら・茶碗蒸しなどにも良い。鴨と良く合うので鴨セリ・鴨雑炊などにも用いられている。また早春の漬物としても絶品。最近ではスープやシチューの具にもなる。
成分的には野生種と栽培種があり、野生種の方が優れている。栽培種はすべて緑色であるが野生種は赤褐色から緑色とさまざまで、鉄分を多く含んでいると根が赤くなる。
野生種にはカルシウム・ビタミンA・Cが豊富であるが栽培種はやや劣る。日本にみる民間薬としてセリはリウマチや神経痛を始め血圧降下や解毒作用が高いとして広く利用されてきた。
中国でも漢方薬材として取り上げられている。微量成分が多くみられ、この効用をみると、風邪を取り除き、平熱にする効果があり、高血圧・めまい・頭痛にもよく効くとしている。その他悪性の腫れ物にも効果大とする。利用法として、薬膳食法として芹菜汁・芹菜スープの愛用を勧め、毎回新鮮な芹菜を用いることとしている。
セリ摘みで注意事項はドクゼリである。猛毒のシクトキシンを含むためけいれんや呼吸困難の場合もある。ドクゼリは高さが五〇センチ~一メートル(食用セリは二〇~四〇センチ)と大きく、葉は鮮緑色で細長い。根は太く緑色。注意すること。