うま味大作戦が有効、パリの老人ホームで成果
最近では欧州でも高血圧、肥満、糖尿病の人の食生活に役立つとして、うま味調味料(グルタミン酸ナトリウム)を生かす料理法・食べ方が注目されている。
また高齢者の栄養不足は、QOL(生活の質)の低下だけでなく、生命にかかわる合併症を引き起こす可能性もある。うまみ調味料の食欲回復の効果は栄養改善の有効な手段のひとつといえよう。
パリにある老人ホームでの高齢者(実験開始時の平均年齢八四歳)を対象とした次のような研究成果がある。
老人ホームで昼食用に準備されたスープ、肉料理、野菜料理、パン、チーズ、デザートのコースの中から、スープと野菜料理に少量のグルタミン酸ナトリウムを添加したものと、していないものとを用意し、高齢者が昼食時に食べた量を測定した。
例えばマッシュポテトにグルタミン酸ナトリウムが添加されていた場合、マッシュポテトを食べる量は増えるが、その代わりデザートは残すというように、食事の総摂取量は変わらなくても、高齢者に必要な栄養素を多く含む料理を普段よりも多く食べたことが分かった。しかも過食にはつながらず、飽和脂肪酸の取り過ぎを抑えることもできた。うま味調味料を上手に使うことで、高齢者の食欲改善や糖尿病患者の食事内容の改善を図ることができるのだ。
(出典=『うま味の科学』、資料提供=日本うま味調味料協会)