だから素敵! あの人のヘルシートーク:スポーツタレント・パンチ佐藤さん

2001.11.10 75号 4面

1990年のオリックスブルーウェーブ入団当初からパンチパーマとユニークなコメントで人気者となり、現在はスポーツタレントとしてグルメ番組などで活躍中のパンチ佐藤さん。いまも草野球チーム『フルーツパンチ』で野球を楽しみ、日々の健康管理にも余念がない。話題豊富で気配り上手、明るい佐藤さんの元気の源とは? 少年野球チームの指導に訪れた佐藤さんに話を聞いた。(取材協力=日本ごはん党)

僕は小学生のころ、いつもマメだらけのかたいかたい手のひらをしてました。雨が降っても、雪が降っても、バットスイング三〇〇回を欠かす日はなかったです。自分の得意な真ん中低め一〇〇回・ど真ん中一〇〇回・真ん中高め一〇〇回を毎日毎日。友だちが塾へ行っている時間も僕はずっと素振りをしていました。

野球を始めたのは小学一年生から。親父が所属していた草野球チームについていって、見よう見まねで始めたんです。当初は身体も小さくヘタくそでしたが、五年生には「ピッチャーで四番」になっていました。

食べることも大事な練習です。丈夫な身体を作りたい、野球がうまくなりたいと思ったから、野球の練習だけでなく好き嫌いせず食べる練習もしました。好き嫌いのある人は野球にもそれが現れて肝心なところで脆さが出ちゃう。何でもバランス良くたくさん食べる人は、ココ一発に力を発揮できるんです。

例えば、いまあなたが高校野球の地方大会決勝に出場しているとして…。同点で迎えた九回裏、ランナー二塁、一打逆点のチャンス! そんなとき打順が回ってきた。さぁ、打て打て! みんなの期待が高まる。ここで点が入れば甲子園に行けるわけです。人生でまたとない晴れ舞台だ! そんなときに好球・得意球だけをじっと待って見逃しの三振…これじゃ、後の人生ずっと引きずりますよ。ふだんから好き嫌いせずバランス良く自分を磨いて、向かってくるモノに臆せず立ち向かう自分を作っておくことが大切だと思います。

それは食べ物についても同じ。食わず嫌いしないで、まず食べてみる。すると自分自身の力や可能性がグンと広がると思います。特にこれからは日本人もメジャーリーグで活躍する時代でしょ。時差をモノともせず、食文化の違いも気にせず食べられる体質にしておかなきゃ世界で通用しません。

とにかく食べること。一流の野球選手たちは皆さんよく食べますよ。イチロー選手は焼肉屋へ行くとまず牛タンから一枚一枚自分で丁寧に焼いて食べ、他にもいろいろ、ご飯も食後のシャーベットもしっかり食べるタイプ。野茂選手はスシを一三〇個ほど食ったことがあるそうだし、松井選手は焼肉屋で丼めしを食べて、そのあと鍋を食べに行く、というくらい(笑)。

特にスポーツの現場では“ごはん党”の人が多いですね。腹持ちがよくゆっくりエネルギーに替わるとかで、試合中でも練習中でもごはんを食べておけば疲れにくいんです。

僕自身、幼いころからごはん党です。野球の時にはいつだって決まって、「おにぎり三個」を持っていってました。小学生のころ、親父が仕事で行き詰まって貧乏だったんでね。豪華なおかずなどめったに持たせてもらえなかった。

それでもオフクロはなんとかやりくりして、おにぎり三つ、必ず作って持たせてくれました。「和弘、大きくなれ、強くなれ」っていう心がね。何よりの栄養になって、いまの僕があるんだと思います。

高学年になると、うちの暮らしもだいぶ落ち着いて、弁当のおにぎりは六つ、ごはんはラーメン丼で食べるようになってました。オフクロは給食のおばさんの仕事をしてましたから、いろいろ食べ物のことに詳しくてね。「ニンジンは目にいいビタミンがいっぱい入ってるんだよ。速い球でもよく見えるようになるからちゃんとお食べ」などと言い聞かせながら食べさせてくれました。聞いて食べると、違うんです。腕立て伏せなんかもそう。

ごはんは太らないですよ。韓国へ行くとスタイルのいい美人が丼めしを食べているのをよく見かけます。日本の女性はポッチリしかごはんを食べないからダイエットに追われるんですよ。結局オヤツなんかを食べちゃったりしてね。僕も現役を退いて、太ってしまわないようにとダイエットをした時期もありました。いまはごはんを中心にした食事と適度な運動を習慣づけて、いい体調をキープしています。

最近、テレビのグルメ番組や旅番組に出演しておいしいモノをいろいろ食べさせていただいております、ありがたいことに。だからこそ体調管理が大切。おいしさは元気でないとお伝えできないでしょう。

地方のロケなどでうちを離れることが多いので、どうしても生活が不規則になりがち。そこで家では、ごく普通の味、山芋やキンピラやひじきなどをカミさんにリクエストしています。カミさんは中国出身ですが、和食を作るのもうまいんですよ。一番の好物はごはんにシジミのみそ汁にキムチ。これさえあれば幸せです。

これからもできる限りの運動を続けながら、将来はさらによく食べよくしゃべる元気な老人になるのが目標です。

◆パンチ流キャッチボール指南

「ヨーシ、みんな集まれっ」。日曜日の小学校。校庭中にビンと大きな声が響いた。パンチ佐藤さんの特別レッスン。ユニホームがダボダボの小学1年生から華奢ながら背だけは大人の6年生まで、野球少年たちが目をきらめかせて彼の次の声を待つ。

「キャッチボールはどこに投げるんだ? そう、相手の胸にめがけて投げるよね。そうすれば、相手も取りやすくて、次の動作に移りやすいんだ。いいか、キャッチボールは思いやり。美容体操じゃないぞ。キャッチボールができない人は、社会へ出ても何もできないぞ。人と人との会話とか作業とか、すべて思いやりが大切。ちょっとミスをして投げてしまうこともある。そうしたら受け取る側がそのタマに近づいていって取る。それも思いやりだな。

さぁみんな、2人1組になって、練習してみよう!」

◆プロフィル

本名=佐藤和弘。1964年神奈川県生まれ。87年亜細亜大学経済学部卒業後、熊谷組入社。88年都市対抗首位打者、社会人ベストナインなど数々の記録を残し、90年オリックスブルーウェーブにドラフト1位入団。91年パ・リーグ東西対抗MVP。94年同球団退団(通算記録=149試合、260打数71安打、3本塁打、26打点、打率2割7分3厘)。その後芸能界で第二の人生をスタート。97年初のフルマラソン完走(マウイマラソン4時間21分06秒)。

【著書】『パンチ佐藤の迷語録人生』サンマーク出版、『プロ野球独断毒舌改造論』ラインブックス

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