だから素敵! あの人のヘルシートーク:女優・由美かおるさん
今月から始まった『水戸黄門』で、従来の「かげろうのお銀」から代わり「疾風(はやて)のお絹(えん)」という新しい役に挑戦している由美かおるさん。今回も、15歳のデビュー当時から変わらない86・58・86のスリーサイズという素晴らしいプロポーションで、「控えおろう」に次ぐ名場面とされる入浴シーンもこなす。年の初め、長年ブラウン管からあふれる、全く変貌しない健康美の秘訣に迫ってみた。
今月から第三〇部『水戸黄門』が始まりまして、いまは京都での撮影に詰めています。昨日東京に戻ってきて、また明日は現場です。一週間に大体四~五日、一年間に八~一〇カ月は京都。その合間を縫って西野流呼吸法の全国講演を展開してます。休めるのはお正月とお盆ぐらいでしょうか。
私にとって一七年目になりました今回の『水戸黄門』では、「疾風のお絹」という役に代わりました。アクションの多い忍者の役は代わらないですが、プラス女性らしさや優しさがあふれる場面が多くなったかな。入浴シーンですか、それは、お楽しみ……(笑)。男性ばかりのスタッフの中で撮影するので、何年演っていても恥ずかしいです。胸がドキドキするというか。でも入浴シーンだけでなく殺陣やどんな場面でも、初心の気持ちを忘れないで感動して楽しみながら仕事をする気持ちは忘れたくないと思って。常に初めてやるような気持ちでチャレンジしています。そうすれば身体も心も、若々しく、やっていけると思うんです。
忙しい日常をこなす健康法としては、何といっても西野流呼吸法です。西野バレエ団の西野皓三先生が創始され教えてもらって以来、二〇年くらい続けています。それまでは演技や踊り、テレビの司会もやっていましたが、人前でおしゃべりするのが大の苦手だったんです。それが不思議なことに呼吸法をやるようになってから、あんなに苦手なものが好きになった。どこに行ってどんな人たちの前でも、自分の気持ちを堂々と伝えられるようになったんです。眠っていた潜在能力が呼吸法によって引き出されたのかな、と思います。
人間の細胞は六〇兆個が全部呼吸しています。意識で気を巡らせていくと、それが身体で捉えられるようになるんです。実際は鼻で吸うのですが、意識で、足の裏から頭のてっぺんまで吸い上げていくイメージを持ちます。自分の身体が樹木になって、根からずっと養分を吸い上げて、楡の葉っぱの先端まで行き渡った感じ。そこで軽く息を止めて、おヘソの下の丹田というところまで下げます。胃と腸を意識してゆるめて、どこも緊張しないで固くならないように。吐く時は実際は口からですが、ゆったりと吐いていきます。
細胞は生まれ変わりますから、その再生される時にいい呼吸をするときれいな再生ができていきます。傷んだところも蘇っていきます。頭がぼーっとしていたり、近視や老眼で目がかすんでいたり、内臓の働きが悪かったりしたのがスッキリします。太っていた人のお腹はへっこんで、髪の毛も蘇ってきたり、便秘や不眠症にも効果があります。漢方でいうお血(おけつ)、古い血がたまって血の循環が悪くなった症状も改善するので、女性の血の道症も改善します。細胞が喜ぶと、身体中楽しくなる。人間って辛いことや悲しいこともあると思うけれど、そういう時呼吸法をやると、スッとうまく乗り切ることができる。前向きの気持ちになれるんです。五感が研ぎ澄まされるだけでなく、集中力がつくので、第六感も働く感じで、物事がいい方向に進むんです。
西野先生は、もともと大阪市立大学医学部で医学を学ばれていました。人間の身体の仕組みを知るにつれて、「人間の生きている不思議さ」に気がつかれたそうです。生きる根源とは何か? それは人間を生かしている生命エネルギーであり、身体の中から湧き上がる感動はその生命エネルギーの高まりそのものに他ならないのではないかと。
さらに、人間の生きる根源を求めて、芸術の世界、中でも身体の動きの美を求めるバレエの世界へ進まれます。宝塚歌劇団に入団し、バレエ教師となり、振り付けを担当。その後、ニューヨークのメトロポリタン・オペラ・バレエスクールに留学もされます。帰国後、西野バレエ団を設立し、数々のスターを生み出されました。NHKをはじめ、各局の歌番組の企画、作、構成者として活躍され、一時代を築かれました。そして、さらに美と感動の根源を求めて、東洋の動き、つまり武道の世界へ入られていく。西野先生、五〇歳の時です。
合気道と中国拳法の修業を始め、五年後には、いずれも師範となられています。バレエで本格的に鍛え上げられた身体は、武道にも相通じるものがあったのでしょう。医学、バレエ、武道の神髄の中から、その集大成として全く独自の足の裏からエネルギーを吸い上げる呼吸法を体得し、創始されたのです。通常、苦労して得た技は「秘伝」とするものなのに、それを大らかに誰にでも開放していることが、私はすごいと思います。
食べることがとても好きです。調子の悪い人を見ていると、なんか偏った食べ物になってどんどん悪い方向に行ってしまう感じがします。呼吸法をやって身体の調子を整えておけば、身体がゆったりと自然体になって、ああこれは変だな、良くないものだなというものがスッと分かるようになる。身体が要求する好きなものが、結果的にみんな身体にいいものになっているんです。
とにかく朝からお腹が空いたぁって目が覚めます。一番好きなのは和食だから、東京では朝から、一晩つけた昆布に鰹節でだしをとって旬の新鮮なものを煮炊きしたものを食べています。京都の朝は時間がないので、手っ取り早くいいものがとれるトーストを。パンの上にちりめんじゃこととろけるチーズを乗せて焼いて、それに焼き海苔を乗せて。旬の果物も必ず。ニンジンジュースも好きです。最後に日本茶を飲みます。日によって多少は違いますが、とにかくたくさんの品数を食べます。お昼もね、お腹が空いちゃって、いつも待ち遠しいんです。京都ではいろいろなお総菜を作っておかずを揃えてくれる、お袋の味の和食屋さんへ仕出しを頼みます。
こんなにお腹が空くのは、呼吸法を毎日習慣にしているからだと思います。いろいろなことを好循環させて、これからも毎日を悔いなく過ごしてチャレンジしていきたいです。
◆プロフィル
1950年、京都生まれ。15歳の時『11PM』でデビュー。故石原裕次郎氏の相手役として『夜のバラを消せ』で映画初出演。72年の『同棲時代』など数々の映画に出演。合気道四段。テレビ『水戸黄門』にレギュラー出演。
○西野流呼吸法 西野塾 電話03・3400・2484