百歳への招待「長寿の源」食材を追う:クランベリー

2002.03.10 79号 11面

小果とは低木になる小さな果実で、いわゆるベリー類と呼ばれるものが多い。果肉が多汁のため、液果類に含められる場合もある。スグリ類・コケモモ類・ブルーベリー類などで、品種も多く、加工適性にも優れる。全世界に分布、利用価値は大きく、また薬効面も高い。(食品評論家・太木光一)

クランベリーは北アメリカ原産のツツジ科の植物で和名はオオミツルコケモモ。主としてアメリカ北部の湿地帯に生え、高さ一〇~二〇センチほどの常緑草状低木で茎はつる状。

花は7月の初め、花茎に小さな紅色の四弁花を下向きにつけ、この開花直前のつぼみの付いている姿が鶴(英語でクレーン)の頭と首に似ているのでクランベリーと名付けられた。

果実は直径一~一・五センチ、球形で美しい。果実を積み重ねると下のものがつぶれるので、畑に水を張り、果実を水面に浮かせて採取する。

先住民はクランベリーを平和の野イチゴと呼び、物事の相談や解決にクランベリーを食べて話し合いを進めたといわれる。そして食用としてだけでなく薬用にも利用されていた。

クランベリーは甘味が少なく、酸味が強いので生食にはあまり適していないが、美しい赤色と酸味を生かし、ジュース・ジャム・ゼリー・カクテル・砂糖漬けなどに用途が拡大されてきた。

アメリカの先住民はこの薬効を重視していたが、次第に研究が進み、次のような薬効が裏付けられてきた。

(1)膀胱炎や尿路結石などの防止…アメリカでは抗生物質が発見されるまで膀胱炎など尿路感染症の症状緩和に利用された。一九九四年にはハーバード大学医学部の臨床試験で尿路感染症に予防効果があることが判明、

九八年にはチュレイン大学ほかで同効果を確認。この有効成分はプロアントシアンと凝縮タンニンであると発表している。

(2)歯周病予防効果…イスラエルの大学がクランベリーの細菌付着防止作用に注目、九八年に歯周病や歯肉炎などの予防に有効であることを発表。この研究に対しアメリカ歯科医師団からも口腔衛生に新しい可能性を開いたとのコメントが寄せられた。新しいデンタルケア製品の誕生も期待されている。

(3)豊富な抗酸化物質に対する期待…クランベリーにはビタミンC・食物繊維・各種ミネラル・ポリフェノールなどが多く含まれ、これらは生活習慣病を予防する効果が大きいとみられる。特にビタミンCは一〇〇グラム中一八・二ミリグラムと、リンゴの六倍、ブルーベリーの二倍強と多く、心臓病やがんのリスクを減らし老化防止に役立つことが判明した。

さらに成分のパワーと効果の解明が進められ、二一世紀のミラクルフルーツと呼ばれている。

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