おはしで防ぐ現代病:動脈硬化を防ぐレモンの2つの力

2003.04.10 92号 14面

四〇歳代の心臓病や脳梗塞が急増しており、動脈硬化の予防が重要視されている。動脈硬化は、血管内悪玉コレステロールの酸化や、血液中の中性脂肪値の上昇などにより起こる。これら二つの作用を抑える効果が期待されるレモンの力を実証した、お茶の水女子大学近藤和雄教授に、詳細を聞いた。

(取材協力=(株)ポッカコーポレーション、レモンセミナー)

レモン果汁には、活性酸素の発生・活動を抑えるレモンポリフェノール(エリオシトリン)という抗酸化成分が含まれています。私たち(※)の研究グループでは、このレモンポリフェノールの、LDL(悪玉)コレステロール酸化作用への影響を調べました。

実験では、被験者一〇人にレモンポリフェノール・アグリコン(吸収しやすいように糖分を切断したもの)を摂取してもらい、摂取前と後三〇分・二時間・三時間・四時間後に採血を行い、LDLコレステロールが酸化され始める時間を測定しました。

すると、摂取前の採血では、酸化が始まる時間が平均四七・一分であったのに対し、摂取後の採血では平均五〇分と延長されました。これにより、レモンポリフェノール・アグリコンが、LDLコレステロールの酸化を抑制していると考えられます。

さらに、動脈硬化の進行を促す中性脂肪に、レモンがどんな力を発揮するかを実験しました。被験者一〇人(平均年齢三七・二歳、男性)に、ロールパン一個とバター三〇グラムに、一回目は水三〇〇ミリリットル、二回目はレモン果汁三〇〇ミリリットルを摂取してもらい、摂取前後の採血から、中性脂肪値の変化を調べました。結果は、レモンを摂取したグループでは摂取しないグループよりも中性脂肪の増加が明らかに抑えられ、レモンが腸管における脂肪の吸収を抑制している可能性が示唆されました。

二つの実験結果から、レモンには活性酸素の発生・活動を抑える抗酸化作用と中性脂肪吸収抑制作用が期待でき、動脈硬化予防に効果的な食品の一つであるといえるのです。

※実験は近藤和雄教授とポッカコーポレーションの共同研究

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