ヘルシートーク:マクロビオティック・コーチ 西邨マユミさん

2011.03.10 188号 05面

 マクロビオティックのカリスマとして世界的に活躍する西邨マユミさん。「手間をかけなくても、マクロ的食生活は楽しめます。できることから手軽に始めましょう」–西邨さんが提唱する“プチマクロ”とは? お話を聞いてみました。

 ◆マドンナのプライベートシェフをしていました

 2001年から7年間、マドンナの家に住み込んで、彼女と家族のために料理を作ってきました。マドンナがプライベートシェフを探していると聞いて応募してみたら、私が子どもの食事もマクロビオティックにしていることが評価されたようで、数ある候補者の中から採用されたんです。

 ワールドツアーにも同行しました。プライベートジェットで一緒に移動し、ホテルでは隣の部屋。いつでもどこでも、ボスのリクエストに応えて、おいしくて身体にいい料理をつくらなければならなかったからです。「えっ、飛行機の中でも!?」って驚かれますが、万全なキッチンがなくても、いざとなればできるんですね。マドンナの仕事をする前、しばらくアラスカで暮らしたことがあって、ひとつの焚き火でいろいろな料理をつくっていました。そんな素朴な環境で過ごした経験も、きっと役立ったのでしょう。

 とにかく、あのマドンナのエイジレスな美しさ、並外れたパワーは、私のレシピによるところが大きいと自負しています。彼女も、頂点に立ち続けるには健康が何より大切であり、その健康をつくるのは食事だということを、よく分かっていたのでしょうね。

 ◆穀物も野菜も、できるだけ丸ごと食べましょう

 マクロビオティックってストイックで難しそう、味が薄くておいしくなさそう–そんな先入観にとらわれて、マクロを敬遠するのは残念なこと!

 私が提唱する“プチマクロ”はシンプルで簡単。レシピもおいしいものばかり。いくら身体によくても、おいしくなければマドンナのシェフは務まりませんからね(笑)。

 基本は、玄米や雑穀など、未精白の全粒穀物を主食に、旬の野菜をたっぷり取ること。なるべく住んでいる場所の近くで収穫されたものを購入する。豆類、海藻類、発酵食品をバランスよく取り入れ、肉、乳製品は特別な日だけにし、白身魚は体調と運動量に応じて週1~2回くらいに控える。

 穀物も野菜も、できるだけ丸ごといただくのがマクロの考え方。たとえば、鍋にたまねぎを丸ごと入れて、少量の水で溶いたみそを加えてフタをし、やわらかくなるまでクツクツ煮ると、それだけでたまねぎが本当に甘くおいしく仕上がります。

 自然のエネルギーがぎゅっと詰まった旬の野菜や、精白していない穀物を丸ごと食べると、日々細胞が元気になっていくのを感じることができますよ。みそ、しょうゆ、塩、ごま油、梅酢など、伝統製法で作られた調味料を揃えることも忘れずに。

 ◆マユミ流プチマクロをまずは実践してみて!

 先日、『おいしい奇跡!LOVEプチマクロ』というレシピ本を出版しました。マクロビオティックの基本は押さえつつ、大胆に自由にアレンジを加えたマユミ流プチマクロを175レシピ紹介しています。

 マクロでは普通使わないハーブやスパイスを加えたり、サラダの下味に梅酢を使ったり。マクロではスイーツを食べないというイメージがあるかもしれませんが、メープルシロップや米飴の甘みを効かせたスイーツのレシピもたくさん載せました。

 「マクロって手間がかかりそう」というのも大きな誤解。私はマドンナ家のプライベートシェフ時代、15分で2~3皿の料理を完成させていました。マクロとは、食材本来のエネルギーを身体にチャージさせる料理。だから素材をあまりいじりません。この本には、シンプルクッキングで素材の力を最大限引き出せるレシピを集めました。

 まずは、自分の手でつくってみてください。きっと身体や肌が変わっていくのを実感できますよ!

 ○ソーイネーズ+春のブランチドベジタブル

 〈材料・2人分〉

 ・豆腐……………1丁

 ・りんご酢………大さじ3

 ・てんさい糖……大さじ1・1/2

 ・なたね油………大さじ4

 ・自然海塩………小さじ3/4

 ・マスタード……小さじ1

 ・春野菜いろいろ

  春キャベツ……2枚/絹さや……8枚/小松菜……1株/赤たまねぎ……1/4個/レッドラディッシュ……4個/レッドラディッシュの葉……適宜

 ・水………………2カップ

 〈作り方〉

 (1)豆腐は4つ切りにして、蒸気の上がっている蒸し器に入れて5分程度蒸す。

 (2)りんご酢、てんさい糖、なたね油、自然海塩小さじ1/4を小鍋に入れて、てんさい糖と塩が溶けるまで弱火で温める。

 (3)(1)と(2)をミキサーかブレンダーでなめらかになるまでよくまぜ、マスタードを加えてさらにまぜる。

 (4)(3)を容器に入れて、粗熱が取れたらフタをして冷蔵庫で冷やす。

 (5)鍋に水と残りの塩を入れて沸騰させ、食べやすい大きさに切った野菜を春キャベツから順に、サッと湯にくぐらせて取り出し、ざるに上げる。茹ですぎないこと。

 (6)(5)の野菜に(4)のソースを添える。

 ○アボカドサラダ バルサミコソース

 〈材料・2人分〉

 ・アボカド、レタス、さやいんげんなどの野菜……適量

 ・濃縮バルサミコ酢(煮詰めたもの※)……………適量

 〈作り方〉

 (1)さやいんげんを色よく茹で、アボカドは一口大に切り、レタスは食べやすい大きさにちぎる。

 (2)濃縮バルサミコ酢をかける。

 ※濃縮バルサミコ酢の作り方…バルサミコ酢を耐熱ガラスかホーローの鍋に入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にし、約半量になるまで煮詰める。

 ●プロフィール

 にしむら・まゆみ 1956年愛知県生まれ。82年に渡米し、マクロビオティックの権威、久司道夫氏に師事。83年、クシ・インスティテュート・ベケット校の設立に参加、料理主任に。2001年より7年間、マドンナのプライベートシェフとして、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨークを中心に活動。08年より日本に拠点を移し、各地でマクロビオティックを広める活動を精力的に行っている。主な著書に『MAYUMIの世界一の美肌レシピ』(主婦と生活社)、『西邨マユミのプチマクロで美人ごはん』(マガジンハウス)など。

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