旧暦で楽しむ漢方スローライフ(24)啓蟄

2012.03.10 200号 08面
「にんじんシフォンケーキ」

「にんじんシフォンケーキ」

「イスクラ逍遙丸」

「イスクラ逍遙丸」

 ●啓蟄(けいちつ) 3月6日頃

 心ときめく春の訪れ

     *

 「啓蟄」とは、冬の間、土の中にこもっていた虫が春の到来を感じて地上に這い出してくる頃のこと。春分を目前にして陽気も徐々に春めき、桜の蕾も大きく膨らんでいきます。

 ◆新陳代謝が活発に

 春は万物が生まれ育つ季節。身体の新陳代謝も活発になり、冬の間にたまった冷えや老廃物を発散させる季節でもあります。

 中医学(中国の伝統医学)では、春と密接な関係があるのは五臓の「肝」と考えます。中医学でいう肝は、西洋医学でいう肝臓そのものを指すだけでなく、身体全体の活動と関わる役割を担っていると考えます。なかでも重要な機能は「疏泄(そせつ)」と「蔵血」です。

 「疏泄」とは、「通じさせて発散・排泄する」という意味で、新陳代謝のような役割。全身を巡る気・血・水の流れをスムーズにし、消化や排泄を促進させ、精神の安定や五臓全体の働きをサポートしています。「蔵血」とは、全身に栄養を供給する血を貯蔵する役割のこと。その他、肝は目や足腰、関節の健康維持にも関係しています。

 ◆積極的なストレス対策を

 肝の機能が低下すると、イライラして怒りっぽい、気分が落ち込んで憂うつになったりため息が出る、血圧の上昇、頭痛、胃腸の不調、疲労倦怠感、月経障害、めまい、手足のしびれ、視力低下などの症状が現れます。

 肝は、春に大きく成長する草木のように、のびのびとした状態を好むので、季節や環境の変化などから過度なストレスを受けると機能が低下してしまいます。

 生活面では、香りの良いお茶やツボのマッサージ、早起きしての散歩や軽めの運動など、ストレス発散を積極的に心がけて。

 食事の面では、苦味のあるものや香りのよい素材を多めに取りましょう。白米、小麦、粟、にんじん、カリフラワー、ピーマン、たまねぎ、セロリ、菜の花、せり、ふき、マッシュルーム、イカ、アサリ、ハマグリ、海藻類、鶏肉、豚肉、豆腐、豆乳、牛乳、卵、いちごなどがおすすめの食材です。

 漢方では、肝に栄養を与える当帰(とうき)や芍薬(しゃくやく)、滞った気の流れを良くする柴胡(さいこ)や薄荷(はっかに)、胃腸の働きを良くする白朮(びゃくじゅつ)や茯苓(ぶくりょう)などを加えた処方の『イスクラ逍遙丸(しょうようがん)』が良く使われています。

 ◆お手軽薬膳レシピ「にんじんシフォンケーキ」

 補血作用のあるにんじんにオレンジジュースを加え、やさしい味わいに

 〈材料・15cmシフォン型1個分〉

 ・にんじん………100g(約1/2本)

 ・卵………………3個

 ・砂糖……………70g

 ・サラダ油………大さじ1

 ・オレンジジュース……大さじ2

 A・アーモンドパウダー…40g

 A・薄力粉…………………60g

 A・ベーキングパウダー…小さじ1/2

 〈作り方〉

 【下準備】

 にんじんは皮をむいてすりおろす。卵は卵白と卵黄に分ける。Aの材料を合わせてふるう。オーブンを170度Cに温める。

 (1)ボウルに卵黄と砂糖の半量を入れて泡立て器で白っぽくなるまでまぜる。サラダ油を少しずつ加えてよくまぜ、にんじんとオレンジジュースを加えてまぜ合わせる。

 (2)別の乾いたボウルに卵白と残りの砂糖を入れて角が立つまで泡立てる。(1)を加えゴムべらでまぜ、ふるっておいたAの粉類を加えて軽く切るようにまぜ合わせる。

 (3)シフォン型に(2)の生地を流し込み、170度Cのオーブンで35分焼く。焼きあがったらすぐに逆さにして粗熱を取り、冷めたらパレットナイフなどで型からはずす。

 ●季節のオススメ養生茶:三爽茶(さんそうちゃ)

 柳茶・スギナ・蓮の葉が入ったダイエットティー

 ●旬の食材を取りましょう

 二十四節気をカレンダーの中に見つけて、自然のリズムで暮らしてみませんか。私たちも自然の一部です。季節の旬を味わって、ほら、心も身体もゆったりとしてきます。

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