72候を楽しむ漢方スローライフ(74)竹笋(たけのこ)生ず
青空の下、夏めく風を感じて(立夏末候 5月15日~20日頃)
*
たけのこが土の中から顔を出す頃。初夏を迎えるこの時期は、食感の良い「真竹」が旬を迎えます。たけのこは食物繊維やビタミンが豊富でカロリーが低く、ダイエットにもぴったりの優秀野菜。旬の味覚を上手にいただけば、おいしくかつ夏に向けてキレイになれそうですね。
●胃腸の疲れで“太りやすい体質”に
夏が近づくと、気になるのは体型の悩み。体質を健やかに整える“健康ダイエット”で、身体の中からすっきりキレイをめざしましょう。
中医学(中国の伝統医学)では、肥満(水太り)や太り気味の人は、身体が「太りやすい体質」になっていると考えます。多く見られるのは、胃腸を中心に内臓の働きが弱くなり「痰湿(たんしつ〈余分な水分や汚れ〉」が溜まっているタイプ。その要因の一つは、体内を巡る「気」の不足にあります。
気は、主に食事の栄養から生み出される身体のエネルギー。胃腸が元気で気が十分あれば、血流がスムーズで、水分代謝も良い状態が保たれます。すると、老廃物を排出しやすく、痰湿も溜まりにくいので、身体はすっきりした状態を保てます。
暴飲暴食、冷たいものの取り過ぎなどで胃腸が疲れると、気が生み出されにくく不足がちに。その結果、痰湿が溜まって身体がむくみ、水太りのようなぽっちゃり体型を招いてしまうのです。痰湿があるとドロドロ血の「〓(お)血(血行不良)」になりやすく、身体に老廃物や脂肪が溜まり、肥満につながることもあります。
●痰湿対策でカラダをすっきり
太りやすい体質を改善するポイントは、過食や冷たい飲食、油っこい食事などを控え、胃腸に負担をかけずに働きを整えること。また、痰湿が長く停滞して体内に熱が生じると、便秘や食欲増加を招いてさらに痩せにくくなってしまうので要注意。溜まった痰湿は、早めの対処ですっきり取り除きましょう。ウオーキングやヨガなどで身体を動かすなど、全身の代謝アップも大切。
食材のおすすめは、利水作用で痰湿を取り除くたけのこ、はと麦、豆類、海草類。血流を良くするターメリック、たまねぎ、酢など。漢方では、胃腸の働きを整えて痰湿を取り除く『イスクラ温胆湯(うんたんとう)エキス顆粒』などがよく使われます。
監修:秋本佳媛(よしえ)(中医学講師)
◆ハレの日薬膳レシピ:たけのこ入りドライカレー
痰湿を取り除くたけのこを使って
<材料・2人分>
・合いびき肉……………………150g
・たけのこ(粗みじん)………100g
・たまねぎ(みじん切り)……1/2個
・にんじん(みじん切り)……1/2本
・にんにく(みじん切り)……1/2片
・しょうが(みじん切り)……1/2片
・セロリ(みじん切り)………1/2本
・レーズン………………………20g
・カレー粉………………………大さじ1・1/2
・ガラムマサラ(あれば)……小さじ1
・塩………………………………小さじ1/2
A・トマト(缶詰)……………1/2缶(200g)
A・トマトケチャップ…………大さじ2
A・ウスターソース……………小さじ1
A・牛乳…………………………1/4カップ
A・水……………………………1/2カップ
・サラダ油……………………大さじ1・1/2
<作り方>
(1)鍋にサラダ油を熱し、にんにく、しょうがを入れて炒める。香りが出てきたら、たまねぎを加え透き通るまで炒め、たけのこ、にんじん、セロリを加えて炒め合わせる。
(2)(1)にひき肉を入れて炒め、肉の色が変わったら、カレー粉、ガラムマサラ、塩を加え、香りが出るまで炒める。
(3)(2)にAを加えて混ぜ、ひと煮立ちしたら弱火にして10分煮込み、最後にレーズンを加えてひと混ぜして火を止める。
レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、管理栄養士)
*
香菊花(しゃんきくか)…香り高い菊花のお茶。アロマ効果で心身ともリラックス
●たけのこは痰湿を取り除きます。
24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。