ヘルシートーク:ゴスペルシンガー・ 亀渕友香さん

2016.12.01 257号 05面

 街中がクリスマスソングであふれ、祝祭ムード一色に染まる季節。この時期に欠かせないエンターテインメントのひとつが、感動的な聖夜を演出するゴスペルコンサートです。今回は、日本のゴスペルシンガーの第一人者である亀渕友香さんに、ゴスペルや歌の魅力、歌い続けるために必要な毎日の食事について伺いました。

 ●感謝と喜びを仲間と分かち合う 歌うことは、生きる方法を見出す手段

 日々、生きていることへの感謝の気持ち。自分の生命力をしっかり感じて大きな声で歌を歌う喜び。そして、一緒に歌う仲間の存在を大切に思う気持ち。これらを表現できるのが、ゴスペルの素晴らしさです。

 私は小さい頃から本当にゴスペルが好きで、ずっとゴスペルを聴いて育ちました。ただし、私が最初に歌ったのはR&Bでした。R&Bのグループでデビューをして、その後、アメリカ人と結婚して渡米。当時からボイストレーナーの活動はしていたのですが、アメリカに移住してからも日本にいるレッスン生たちにどうしても教えたくなってしまって。だから、渡米中もレッスンにかこつけて、年に数回は日本に帰る生活を続けていました。このときに、「もっとレッスン生たちと一緒に歌いたい」と痛感したんですね。

 そこで、帰国してすぐに当時のレッスン生9人とゴスペルを歌い始めました。それが、「VOJAコーラスアカデミー(現・VOJA Voice Art College)」です。なぜ、ゴスペルだったかというと、ひとりではできないことに挑戦したかったから。みんなと歌った方が、確実に人生が豊かになりますからね。私自身、このチャレンジによって、子どもの頃から慣れ親しんできたゴスペルのパワーを再確認しました。

 ゴスペルはキリスト教の教えがベースになっていますが、歌われている内容はとてもシンプルです。「誰も見てくれていなかったとしても、太陽が見てくれているよ。だから、あなたもしっかり生きなさい」というような、誰もが共感できる人生の応援歌でもあるんです。しかも、音楽的な意味でも、ベーシックな要素が詰まっています。ゴスペルから始めれば、ジャズやR&Bなど、他ジャンルにもレパートリーを広げることができるんですよ。

 ●リズムを感じながら感情の変化を楽しむ 今年のクリスマスは、心が躍る楽しい音楽を

 ゴスペルの醍醐味は、なんといってもリズム。もちろん、歌詞も重要ですが、人間が最もエネルギーをかき立てられるのは“その時代が求めるリズム”です。

 現代は、とても慌ただしく、雑多な時代だといわれています。テクノロジーがすっかり生活に溶け込んで、人々は機械的なカチカチしたリズムを居心地よく感じるようになっています。でも、そればかりだと疲れてしまう。反動で、今度はもっとゆったりしたリズムを求めるようになります。たとえば、川のせせらぎの音、鳥の声、風の音など、自然界の有機的なリズムに憧れを抱くようになるんです。だから、機械的なリズムと自然界のリズム、この2つの組み合わせが、現代人の心を揺さぶるんですね。

 恒例のクリスマス・コンサートでも、今年はこの2つのリズムを主体としたゴスペルをお届けしようと思っています。

 実は、去年までのテーマは、落ち着いた楽曲中心の“オーソドックスなクリスマス”でした。雑多な時流に翻弄されるのではなく、あくまでも厳かに。でも、今年は少し“カチカチ”度を上げて、心が躍る楽しいクリスマスにしたいと思っています。

 ●歌うためには健康管理も重要 色がテーマのサラダは、目でも楽しめる一品

 歌を楽しむために気をつけたいのは、第一に、喉に良い食べ物を取ること。中でもオススメはハチミツとレモンと紅茶です。これらを全部ミックスしたハチミツレモンティーが最適。いつでも飲めるように、タンブラーに入れて持ち歩くのもいいですね。

 毎日の食事には、野菜も欠かさず取り入れています。冬は身体が冷えるので、体内に温かいエネルギーを蓄えるためにも積極的に取るようにしています。よくつくるのが、白いサラダ・赤いサラダ・青いサラダ。サラダの具材をテーマカラー1色にまとめて、華やかで遊び心のある一品にします。

 例えば、白のサラダには、山芋、大根、かぶ、カリフラワー、ごぼう、もやしなどのほか、その時に出会った白い野菜を入れます。赤いサラダだったら、パプリカ、トマト、赤かぶ、にんじん。青いサラダには、ニラ、ほうれん草、小松菜、ピーマン、ブロッコリーなど。これらをゆでたり蒸したりしてから、お気に入りの白くて長いお皿に品良く盛り付けます。食事は、見た目の楽しさも重要ですからね。最後に、ごま風味のドレッシングと、豆板醤やごま油を加えて好みの味に仕上げていただきます。

 私にとってゴスペルは、人生のビタミン剤。つらい時に気持ちを明るくしてくれたり、新しいことにチャレンジする時にそっと背中を押してくれたり、自分の思わぬ力を発見させてくれる、“生きる源”ともいえる大きな存在です。だからこそ、しっかりと向き合わなければいけません。そのためにも、健康な身体や心をつくってくれる野菜は欠かせませんね。

 ◆プロフィール

 かめぶち・ゆか 1944年、北海道生まれ。ゴスペルシンガー、ボイストレーナー。東京声楽音楽専門学校(現・昭和音楽大学)オペラ科卒業後、バーバラ・ゴブ氏に専門ゴスペルを、ウィリアム・バッキンハイム氏に発声学を、カーマイン・カルーソ氏にジャズ理論および演奏形態を学ぶ。1968年、R&Bグループ「リッキー&960ポンド」のボーカリストとしてデビュー。日本のR&B界に旋風を巻き起こした後、一時渡米。帰国後は、1998年に「VOJA Voice Art College(当時の名称は「VOJA コーラスアカデミー」)」を開校したほか、1993年、「亀渕友香&The Voice of Japan(VOJA)」を結成。ゴスペルをベースにミュージカル、映画音楽など手掛けるほか、ソロ活動も積極的に展開している。

 ◇CONCERT INFORMATION

 ●亀渕友香ジョイフル&ジャジー・クリスマス ~船堀、冬の街に流れるメロディー~

 12月11日(日) 14:30開場/15:00開演 タワーホール船堀大ホール 全席指定4,000円(税込)

 出演:亀渕友香/鬼武みゆき(ピアノ)

 お問い合わせ:タワーホール船堀 TEL03(5676)2211

 亀渕友香さんの心温まる歌声で綴る、映画に使われたジャズと日本の美しいメロディー。鬼武みゆきさんのジャジーでアコースティックなピアノの音色と相まって、オシャレな一夜を演出します。

 ●亀渕友香&The Voices of Japan Christmas Gospel Night 2016

 12月21日(水)18:30開場/19:00開演 東京文化会館大ホール 全席指定S席5,500円、A席4,500円(いずれも税込)

 出演:亀渕友香/黒木真(ピアノ)/石井為人(キーボード)/伊達弦(パーカッション)

 主催:東京労音

 お問い合わせ:TEL047(365)9960

 亀渕さん恒例のクリスマス・ゴスペルコンサート。サポートミュージシャンもツワモノ揃い。一般から募集し、亀渕さん自らが指導にあたったコーラス隊も参加します。

 ◇MOOK

 巻頭には亀渕さんも登場!

 『ぴあゴスペルワンダーランド』 ぴあ株式会社 1,389円(税別)

 ゴスペルの歴史や最新情報のほか、ゴスペルを愛する人々からの熱いメッセージも多数掲載したムック本。巻頭企画には亀渕さんも参加した「ゴスペル界レジェンド鼎談」も。

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