ヘルシートーク:日本キッズ食育協会代表理事・榊原理加さん

2020.02.01 295号 05面

1月第1週のレッスンメニュー(左上)。ぶり大根、白菜と油あげのみそ汁、ブロッコリーのごまあえ。幼児(3~5歳の未就学児童)はぶり大根のみ

1月第1週のレッスンメニュー(左上)。ぶり大根、白菜と油あげのみそ汁、ブロッコリーのごまあえ。幼児(3~5歳の未就学児童)はぶり大根のみ

「キッズ食育かるた」1,200円(税別)。遊びながら楽しく「食」を学べる教材。食材のほかマナーや栄養、健康についても勉強でき、親子のコミュニケーションツールとしても最適

「キッズ食育かるた」1,200円(税別)。遊びながら楽しく「食」を学べる教材。食材のほかマナーや栄養、健康についても勉強でき、親子のコミュニケーションツールとしても最適

キッズ食育トレーナー、保育士、フードコーディネーターの為我井(ためがい)あゆみさん(左)と。たくさんのキッズ食育トレーナーさんが「たべぷろ」 でレシピを連載中。https://tabepro.jp

キッズ食育トレーナー、保育士、フードコーディネーターの為我井(ためがい)あゆみさん(左)と。たくさんのキッズ食育トレーナーさんが「たべぷろ」 でレシピを連載中。https://tabepro.jp

 ◆青空キッチンで楽しく「食」を学びませんか? 料理は子どもの心も育てます

 いま話題の食育スクール「青空キッチン」をご存知ですか? ここに通った子どもたちは「苦手な野菜が食べられるようになった」「自分で考えて行動するように」「失敗をおそれずなんでも挑戦するようになった」と、全国のパパ・ママからうれしい声が届いています。運営する榊原理加さんも、3人のお子さんのママ。どうしたら子どもたちに「生きる力」を身につけさせることができるのか、お話を伺いました。

 ●身につくのは調理力だけではない! いま話題の食育スクール

 「青空キッチン」はスタートからまもなく満6年を迎えます。スタート当時はうちの長男が小学1年生。いまは6年生になり、私が仕事で遅くなる時は、「ご飯を炊いておくよ」と先にやっておいてくれます。

 冷蔵庫に豚肉がなくても、チャーハンをちゃんとつくっていたのには驚きました。「豚肉なしでどうやったの?」と聞くと、「ハムで代用したよ」と得意げに答えました。あのときは「すごい! さすが!」と感動しましたね。母親にヘルプを求めずハムで代用する機転力・応用力は、まさに自分たちで課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断・行動して問題を解決する「生きる力」そのものです。

 「留守中に子どもたちだけで包丁や火を使うのは危ないのでは?」と言われることもあります。でも、うちの子どもたちは「青空キッチン」で、包丁の正しい使い方や火の取り扱いをしっかり学んでいます。レッスンで使う包丁は、子どもの手に合う小さめのハンドルで、刃先とあごは丸い安全設計。全員、“マイ包丁”を購入し、それと同じものを家でも用意しておくので安心です。

 子どもたちは、ただ単に調理に関する基礎的な知識と技能を身につけるだけでなく、料理を通じて思考力や判断力・表現力、そして主体的に取り組む姿勢もしっかり身につけてくれています。

 ●失敗をおそれず挑戦する子になる 自己肯定感が高まるレッスンとは?

 日本キッズ食育協会が運営する「青空キッチン」は、料理技術の向上が最終目標ではありません。料理を通じて将来にわたって必要になる「生きる力」を養います。わが家の子どもたちも食事作りに携わることで、ワンチームとして家族の絆が強まり、お互いを思いやってサポートし合う豊かな心が醸成されることを願っています。

 具体的に幼児クラス(3~5歳の未就学児)について紹介すると、準備と後片付け10分、調理10分、試食10分、食育学習10分の計40分です。食育学習では、青空キッチンオリジナルの食育ドリルを使います。

 「小さい子どもが10分で調理できるの?」と驚かれることもあるのですが、ちぎったり混ぜたり、簡単な作業をあえて取り入れています。それでも、子どもたちが食材に直接にふれあう大切な時間。この時間を通じて、苦手な食材が好きになったり、食べられなかったものが食べられるようになったり、親御さんも驚くほどの成長ぶりを見せます。この10分レシピはママたちにも大好評なんですよ。

 実際、家で食育するとなると、とても大変です。「青空キッチン」のカリキュラムは、管理栄養士や幼稚園教諭の資格を持つ経験豊富なメンバーと一緒に考案していますし、子どもたちが「やってみたい!」と思わず挑戦したくなる言葉かけも、プロならではです。

 しかも、ここならどんなに汚しても、こぼしても、失敗してもOK。やってみたいという気持ちが尊重され、自己肯定感がどんどん高まります。だから、日常生活でも失敗をおそれず何でも挑戦する姿勢が養われるのです。

 ●1本の大根をマイ包丁で皮むき 「ぶり大根」をつくる幼児って!?

 1月のレッスンメニューは「ぶり大根、白菜と油あげのみそ汁、ブロッコリーのごまあえ」でした。食育学習では、ぶり大根について学びます。ぶり大根は、富山県の郷土料理として選定されているってご存知でしたか?

 食育は身近な学習要素が満載で、国語・算数・理科・社会を学ぶきっかけとして最適です。子どもたちへの「大根って根? 茎?」というクイズは、理科で学ぶ、植物がどう生えているのか等、知識や観察につながります。「富山県ってどこにあるの?」と地図で確認すれば、「社会」の学習になりますよね。

 大根の皮をむき、砂糖・みりん・しょうゆを計量して火でコトコト甘辛く煮込み、それを実際に口に入れるという体験は、子どもたちを大きく成長させてくれます。マイ包丁で一生懸命に切って、一つの料理を完成させたという達成感が、苦手な野菜も大好きになることもあります。

 試食タイムでは、隣の子がおいしそうに食べている姿に触発されて、苦手な野菜も思わず口に入れてしまう姿もよく目にします。苦手な食べ物も、食感や見た目など調理の工夫次第で克服できるだけでなく、「青空キッチン」での成功体験や、楽しい記憶、先生や友達からかけられた言葉を通して、子どもたちは、苦手を克服して、成長していきます。

 3年間は同じメニューをつくりませんから、10分でつくれるマイレシピがどんどん増え、継続していくうち調理技術も自然に上手になっていきます。野菜や食を通して、子どもたちの成長を促す、コミュニケーションをしてみませんか?

 ◆プロフィール

 さかきばら・りか 一般社団法人日本キッズ食育協会代表理事。フードビジネスプロデューサー。3人の男の子(小6・小4・小1)の母。大学卒業後、(株)ABCクッキングスタジオ入社。店舗・生徒拡大に伴い約10年マーケティングマネージャーを経験した後に独立し、2014年、食育スクール「青空キッチン」をオープン。翌年から全国展開し、現在50店舗。キッズ食育トレーナーも養成中。

 ●体験講座

 キッズ食育の資格を取得したい人向けに体験講座を開催中

 詳しくは→https://kids-shokuiku.jp/(「日本キッズ食育協会」で検索)

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