イオンは、オーガニック生産者の輪を広げます! AOAがスタート

2019.12.01 293号 05面
イオンアグリ創造の直営農場は全国20カ所。福永庸明社長(右)と、今回プロジェクトスタートの関東市場のハブとなる埼玉日高農場の三富明希農場長

イオンアグリ創造の直営農場は全国20カ所。福永庸明社長(右)と、今回プロジェクトスタートの関東市場のハブとなる埼玉日高農場の三富明希農場長

生産者と共に持続可能なオーガニック農業を追求

生産者と共に持続可能なオーガニック農業を追求

全国のイオングループ店頭でオーガニック売場が拡大中

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安全安心な野菜を持続的に届けるためには課題もある

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オーガニック栽培のパートナーシップ提案は業界初

オーガニック栽培のパートナーシップ提案は業界初

 ◇「イオン オーガニック アライアンス」スタート

 オーガニック野菜といえば、「安全安心で環境にも配慮した持続可能な農業」、そんなイメージがあります。しかし、消費者や環境にとっては理想的でも、生産者がオーガニック農業を経済的に持続していくことは難しい…。そんな課題にイオンが正面から取り組みます!

 ●オーガニックが抱える課題とは

 オーガニック野菜は魅力的だけれど、「価格が高い」と思ったことはありませんか? 「欲しい野菜がない、選べない」そう思ったことはないでしょうか?

 それこそがオーガニック野菜の抱える課題なのです。高いからたくさんは陳列できない。だから、生産者はたくさんつくれない。だから、生産者が増えない。生産者が増えないから、収穫量も増えずに高いまま…。

 ●課題解決をめざすイオンの取り組み

 イオンは、この流れを変えようと2009年に農業法人「イオンアグリ創造」を設立しました。現在、全国20カ所で直営農場を運営し、4カ所は有機JAS認定を取得するなどオーガニック野菜の取扱量を増やしてきました。自社以外のオーガニック生産者との取り組みも増えており、全国のイオンやイオンスタイルの店頭でオーガニック野菜コーナーが広がっています。

 「オーガニック生産者の輪を広げたい」。イオンアグリ創造の福永庸明社長は、オーガニック農業が持続していくための条件として、生産者の拡大を挙げます。しかし、オーガニック農業は通常の農業に比べ手間がかかり、拡大は簡単ではありません。

 そこで登場したプロジェクトが、イオンの新しい挑戦が、「イオン オーガニック アライアンス」です。

 ●「作る・運ぶ・売る」の仕組みを変える!

 イオン オーガニックアライアンスとは、オーガニック生産者とイオングループの協業により、環境面だけでなく経済的にも持続可能なオーガニック農業をめざす仕組みです。オーガニック野菜をつくる段階・運ぶ段階・売る段階でイオングループの仕組みを活用します。

 まずは、つくる段階です。イオン オーガニック アライアンス参加への間口は広く、ウェブの専用サイトに登録するだけでOK。

 対象となるのは、すでにオーガニック農業に従事している生産者だけではありません。このアライアンスでは、イオングループや海外のオーガニック事情について情報を得ることから始まり、勉強会や交流会を通じて取引関係への発展をめざします。

 「参加条件は有機JAS認定の取得をめざすことだけ」(福永社長)。イオンアグリ創造が10年間かけて培ってきた農業のノウハウを生かし、新規就農者にも対応する方針です。

 次に、運ぶ段階。オーガニック野菜を宅配便で出荷する生産者も増えていますが、「宅配便のコストは価格にのせるしかなく、店頭では買いづらい価格になってしまいます。この非効率を改善すれば、その分だけ価格は下がります」(同)。

 そこで直営農場か、すでに取引のある契約農場を物流拠点として利用。生産者の近くにある拠点に収穫した農作物を集約し、そこから先はイオングループの物流網に乗せることで合理化を図ります。物流コストを下げ、店頭に並ぶまでの時間も短縮できる仕組みです。

 最後は、売る段階です。もちろんイオングループの店舗を活用。オーガニック売場は拡大中で、量も種類も増やしていく方針です。生産者にとっては、「つくっても売れるかどうかは市場に出してみないと分からない」では安心して生産ができません。売り先を確保できれば、生産計画を立てることができます。

 ●「大」と「小」のコラボで拡大へ

 アライアンスは大規模農業だけの仕組みではないところが特徴です。小規模農家、それもオーガニック未経験の農家にも参加してもらい、オーガニック農業の拡大をめざします。福永社長は、「小規模でも、集まれば量はつくれる」と話します。

 まずは千葉からスタートした仕組みですが、全国に広げていく方針です。時間のかかる地道な取り組みになりますが、それこそが「持続可能な農業」の姿なのかもしれません。

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