ヘルシートーク:料理コラムニスト・山本ゆりさん

2018.07.01 276号 05面

 ◆「今日は何つくろう…?」のお悩みを解消

 シリーズ累計で510万部売れている料理本があります。それが、『syunkon カフェごはん』。そのヒットの秘密を探ろうと、山本ゆりさんを訪ねました。お偉い先生なのかと思いきや、笑顔が素敵でチャーミングな女性。「ふざけた料理本があってもいいかなと思って書いています」という飾らなさが、読者を惹きつけるのでしょう。

 ●私は料理の先生じゃないから読者さんに助けてもらっています

 ブログを始めたのは10年前。大学4年生の時です。当時はカフェブームで、カフェに行きたいのだけれど、お金はない。それなら家で何とかカフェ風のごはんをつくりたいなと思って、ブログに載せ始めたのがきっかけです。

 料理は小学生の時からやっていたので、とにかく見かけをカフェ風にすることにこだわりました。100均のグッズを頼ったり、缶のトレーを使ったり。料理もグッズも、あるものでやらなければなりません。赤いランチョンマットが欲しい時にはキャミソールを使ったり、あじのあるテーブルに見えるけど、実は床!という時もありました。

 記念すべき第1回目の料理は、サラダうどんです。今見るとレシピとはいえない、分量が全部「好きなだけ」というもの。

 材料はあるものしか使えないし、不器用だし、失敗も多かったので、そういうのをブログで共有していたんです。困ったことは読者さんに相談して、解決法を教えてもらったことも。いまでもそうですが、私は料理の先生ではないので「教える」という感覚はなく、むしろ助けてもらっている感覚です。テレビ出演の際など、身内のように心配してくださったりも。

 現在は結婚して子どももいるのですが、ブログはできるだけ続けたいなと思っています。ただ時間の使い方が下手なので、日々なんとかこなしている感じです。

 時々、家でのドタバタが写真に写り込んでいることもあります。クリスマスツリーの横にハロウィンの残骸があったりね。子どもがまっすぐに育ってくれることを祈るばかりです。

 ●「簡単&副菜付き」がポイントネット感覚で料理を探してみて

 献立を考える際は、無理なく簡単にできるというのを念頭においています。和で統一するとか、中華だから他の惣菜も中華にしなくちゃ、ということはまったくありません。まずメインのメニューを考えて、それと被らない副菜を2つくらいポンポンとつくれば、だいたいバランスは取れます。

 献立本の落とし穴は、「同じ材料がないとこの献立ができない」というもの。だから今回の本は、材料を別のもので代用したり、別の副菜に組み替えたりできるようにしています。メインの料理と同じページに副菜をいくつか紹介しているので、その中から好きなもの、あるいは冷蔵庫を覗いて、見つけた食材から副菜を選んでいただければいいようになっています。

 もし、そのページのどれも気に入らなかった場合は、副菜だけを集めた副菜カタログも用意しましたので、そこから選んでください。

 索引は、「ダッシュおかず」や「悩めるおかず」などの目的別や、メインや副菜、ごはんなどからも選べるようになっています。野菜や肉などの食材からも選べるし、しょうゆ味、マヨネーズ味などの味つけからも選べます。調味料は基本の「さしすせそ」と、どこの家にもある調味料で、ほぼつくれます。イメージはネット検索です。目的の料理にすぐに行きつけるよう工夫しました。

 ところどころ、料理本らしからぬコメントも入っていますが、「ちょっとふざけた料理本があってもいいじゃん」というところからはじまっているので、読み物としても楽しんでいただきたいですね。

 ●野菜不足はこれで解決!お手軽に“なんでもぶちこむスープ”

 これからは夏野菜のシーズンですね。夏の野菜はそのままでおいしいのが多いので、私は全部好きです。特に好きなのはトマトとなすかな。いや、オクラもピーマンも、カボチャも捨てがたい。

 トマトとなすのマリネは好きですね。トマトとなすはスライスしてオリーブオイルで焼いて、ポン酢・オリーブオイル・砂糖であえるだけ。チキンのトマト煮もオススメです。耐熱コンテナに鶏肉、トマト、たまねぎ、ケチャップなどの合わせ調味料を入れてレンジでチンするだけでつくれます。

 私の野菜不足対策の最強料理は2つ。ひとつはスープです。汁物になんでもぶちこんでいます。もうひとつは、料理名もないのですが、なんでも野菜をザクザク切って油をかけてレンチンするだけ。その2つがあれば、野菜不足はかなり改善できるのではないでしょうか。

 簡単にできるドレッシングは市販のポン酢か、めんつゆにオリーブオイルを混ぜるだけです。楽ちんだし、おいしいですよ。めんつゆとポン酢は重宝しますよね。難しい名前の調味料は使い切れないことが多いので持っていません。

 これまではカフェ風というとワンプレートだったのですが、いまはお盆に一汁三菜がのった「家のごはん風」の献立が好まれています。だから今回の本の表紙も、自然とこうなりました。

 献立に悩みたくない、野菜をたくさん取りたい方のためにつくった本ですので、参考にしていただけたらうれしいです。

 ◆プロフィル

 やまもと・ゆり 大阪生まれ、大阪在住。6歳と2歳の女の子の子育てをしながら、料理やコラム執筆をこなす。身近な材料で簡単にできる料理と、ユーモアあふれる日常を綴ったブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」が大人気に。レシピブログでは不動の人気No.1料理ブロガー。このほどシリーズ8作目の『syunkon カフェごはん めんどくさくない献立』を出版。本のあちこちに盛り込まれた吹き出しに、大阪出身の著者の人柄が現れる。

 ●新刊本の案内

 『Syunkon カフェごはん めんどくさくない献立』

 いつもの食材で、主菜はもちろん、副菜まで全部おいしい!今日の自分がラクになるお悩み解消の献立本

 *

 目次は食材別になっていて、「キャベツ」の欄からでも、「ひき肉」の欄からでも、この「キャベツとひき肉のとろみ塩炒め」にたどりつけるようになっています。吹き出しが一番リアルです。くすっと笑ってください。

 宝島社

 定価:680円(税別)

 発売日:2018年4月7日

 ●お料理Pick Up

 『syunkon カフェごはん』から、夏の野菜メニューを特別にご紹介

 ○豚バラとなすのチン

 <材料・2人分>

 ・豚バラ肉(薄切り)…………200g

 ・なす……………………………3個

 ・酒………………………………大さじ2

 ・あれば万能ねぎの小口切り…適量

 ・焼肉のたれ、ポン酢、しょうがのすりおろし……各適量

 <作り方>

 (1)豚肉は4cmの長さに切る。なすは薄い輪切りに。

 (2)耐熱の皿2枚に(1)を交互に円状に並べて酒をかけ、ふんわりとラップをかけて1皿ずつ電子レンジで4分加熱する。あれば万能ねぎを散らし、焼き肉のたれ、ポン酢、しょうがを添える。

 ○ツナトマトオイル

 <材料・2人分>

 ・プチトマト………………………10個

 ・ツナ缶……………………………1缶

 A・オリーブオイル………………大さじ1

 A・しょうゆ、砂糖、白いりごま……各小さじ2

 ・あればしそのせん切り………………適量

 <作り方>

 (1)プチトマトは半分に切り、軽く油をきったツナとAを合わせあえる。

 (2)器に盛り、あればしそをのせる。

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