72候を楽しむ漢方スローライフ(115)霎時施す
霜降る朝に冬の気配(霜降次候 10月28~11月1日頃)
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さぁっと雨が降ったかと思うと、見る間に青空が広がっていく……。そんな時雨(しぐれ)が通り過ぎる晩秋の頃。朝晩の空気はぐっと冷え込み、山里では霜が降りはじめます。初霜が降りると冬の訪れはもう間近。衣替えをしたり暖房の準備をしたり、寒さに備えてそろそろ冬支度をはじめましょう。
●乾燥肌」は身体の中から
空気が乾燥する秋から冬は、肌の潤いも失われがちに。毎年繰り返す「乾燥肌」に、そろそろ保湿対策を、と考えている人も多いのではないでしょうか?
漢方では「皮膚は内臓の鏡」と言われ、肌のトラブルにも身体の不調が関係していると考えます。
乾燥肌の主な要因となるのは、体内の潤い不足。とりわけ「肺」の乾燥には注意が必要です。
肺は水分代謝をコントロールし、皮膚に潤いを届ける働きがあります。ところが、肺は乾燥に弱いため、空気が乾く秋冬は機能が低下しがちに。その結果、肌に十分な潤いが行き届かず、カサカサの乾燥肌を招いてしま
うのです。
●食養生で「潤い体質」に
乾燥知らずの潤い美肌を保つには、肌表面のケアとあわせ、“身体の保湿力”アップが大切。養生の基本は、潤いの多い食材を積極的に取り入れ、肺を乾燥から守ること。反対に辛いもの、糖分、カフェインなどの取り過ぎは、乾燥肌の悪化につながるので気をつけましょう。
日頃のケアでは、入浴後や洗顔後に“すぐ保湿”を心がけて。時間が経つと肌の潤いがどんどん失われてしまいます。
食材は、体内の潤いを養う白きくらげ、タピオカ、はちみつ、キウイフルーツ、ぶどう、オレンジ、梨、りんご、レモンなどがおすすめです。
◆ハレの日薬膳レシピ:白きくらげとタピオカのデザート
保湿効果の高い白きくらげとはちみつ、果物類で潤い体質に。
エネルギー93kcal/たんぱく質0.7g/たんぱく質0.7g(1人分)
<材料・2人分>
・白きくらげ…5g
・黒タピオカ…10g
・キウイフルーツ…1/2個
・ぶどう…4個
・オレンジ…1/4個
〔シロップ〕
・水…250ml
・レモン汁…大さじ1/2
・はちみつ…大さじ1・1/2
<作り方>
(1)白きくらげは水で戻し、とろりとなるまで煮て、ザルにあげ、粗熱をとっておく。
(2)タピオカはたっぷりの水(分量外)で鍋にくっつかないように煮て、芯がなくなったら冷水にとり、ザルにあげる。
(3)水にはちみつ、レモン汁を加えシロップをつくる。
(4)果物は皮をむき、食べやすい大きさにカットする。
(5)(3)に(1)(2)(4)を入れて混ぜ、好みに冷やしてから、盛りつける。
レシピ=四方尚子(東京栄養士薬膳研究会)
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24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。