Special Interview:山本ビニター代表取締役社長・山本泰司氏

2026.06.01 350号 04面

◇【広告企画】技術開発と現場のものづくり技能を融合させ最適解を追求することで真に価値ある製品が生まれる

「高周波急速解凍装置の開発」で「ものづくり日本大賞・近畿経済産業局長賞」受賞

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山本ビニターは1953(昭和28)年の創業以来、高周波・マイクロ波を利用した加熱技術をコアに、産業用・医療用の加熱装置を開発・製造・販売している。70年以上にわたり培った技術と経験を生かし、一社ごとの課題に応じてカスタマイズした装置を提供し国内シェアトップの地位を確立しており、高周波・マイクロ波加熱装置の専業メーカーとしては世界シェアにおいてもトップレベルだ。同社のチームは経済産業省などが主催する第10回「ものづくり日本大賞」において、「コールドチェーンの一翼を担う、解凍革命『高周波急速解凍装置の開発』の取り組み」で近畿経済産業局長賞を受賞した。「解凍」には「解答」がないと語り、常に進化し続ける同社・山本泰司社長に「ものづくり」への思いを伺った。

●誘電加熱ソリューション技術でコールドチェーンのボトルネックを解決

–事業内容をお聞かせください。

[山本]高周波・マイクロ波を利用した加熱技術をコアに、産業用・医療用の加熱装置を開発・製造・販売しています。単に医療機器、木材加工機械、食品加工機械を製造するということではなく、さまざまなメーカーの製造現場の熱処理工程において、従来の蒸気・熱風・抵抗加熱・遠赤外線による「加熱に関する困り事」、例えば時間がかかる、均一に加熱できない、エネルギー効率が悪い、人手がかかるなどの困り事を電波による特殊な加熱技術を活用して解決すること、つまり誘電加熱によるソリューションが弊社の事業です。工場にはテストラボを併設しており、お客さまが持ち込まれた素材や困り事について、担当の技術者が高周波・マイクロ波で解決できるかを試験し、個別のソリューションを提案しています。

–受賞対象である高周波急速解凍装置の開発経緯をお聞かせください。

[山本]30年ほど前に関西の冷凍食品メーカーから「大きなブロック肉が均一に解凍できない」という課題を頂いたことがきっかけです。食品加工工場では、マイナス20℃前後の冷凍原料を加工に適した温度(マイナス5~マイナス1℃)にまで解凍する必要があります。一般的に用いられる「冷蔵庫解凍」「低温ミスト解凍」「水解凍」などの解凍方法は、解凍時間、解凍むら、ドリップロス、細菌感染、排水処理問題、人手がかかるなど課題が多く、冷凍原料の解凍は日本のコールドチェーンのボトルネックとなっていました。このボトルネックを解決できる世界で初めての高周波誘電加熱による「急速解凍装置」を弊社が開発しました。

従来の解凍法では難しい大型の冷凍原料を5~30分という短時間で均一に、しかもドリップロスを1%以下に抑える解凍を可能にしたことで、食品加工の生産性向上と歩留まり向上に大きく寄与することができました。さらに、最適な解凍のためには適切な解凍条件を装置に入力する必要がありますが、この「解凍条件」の入力も、近年の工場におけるパート、アルバイト、外国人労働者の増加を踏まえ、入力要件のインターフェースを平易にすることで操作性を向上させました。現在、「高周波解凍装置テンパトロン」は、中小規模工場向けに小型バッチ式、中型バッチ式、大規模食品工場向けの連続式の3機種で展開しています。

●技術開発と現場の技能の融合で真に価値ある製品を

–「ものづくり」への思いについてお聞かせください。

[山本]お客さまのニーズは千差万別です。その一つ一つに向き合うため、ものづくりの在り方そのものを大切にしています。テストラボでの実証を起点に、豊富な経験と実績に培われた技術者の力と、最先端の設計・開発によって磨き上げられた技術を掛け合わせることで、大量生産ではない、カスタマイズ生産・研究開発型のものづくりを実現しています。特に重要なのは、技術開発と現場のものづくり技能の融合です。どれほど高度な技術であっても、それを実際の製造現場で安定して機能させ、価値として発揮できて初めて意味を持ちます。私たちは、試験から設計・製造までを一体で捉え、最適解を追求することで、真に価値ある製品が生まれると考えています。

–「ものづくり日本大賞」への応募経緯についてお聞かせください。

[山本]実は昨年、近畿経済産業局が制定し、関西の中小企業が新たに開発した製品・技術などを表彰する「関西ものづくり新撰2025」で、「高周波による急速解凍装置テンパトロン-V」(写真1)が最優秀賞を受賞しました。その際、同時並行でものづくり日本大賞にも申請していました。ものづくり日本大賞は、ものづくりに携わる者として最も栄誉ある賞です。それまで独自開発してきた誘電加熱装置全般を対象として第9回に初めて応募しましたが、範囲が広く技術の特長や価値が伝わりにくい面があり、残念ながら入賞を逃しました。

近畿経済産業局の担当の方の助言もあり、対象範囲を身近な食品分野、解凍装置に絞り込み、フードロスという社会課題の解決にも貢献する点を明確に打ち出し、第10回ものづくり日本大賞に応募しました。今回、社員の今堀敏弘、児玉順一、井口健治、古川浩己、吉田浩二、松井仁司と私の7人が受賞しました。われわれ7人にとってこの受賞は大きな励みとなりました。また、全社員にとっても自社製品が社会的な課題の解決に貢献していることが高く評価されたことで、モチベーション向上につながりました。

「100億宣言」に参画し国内市場拡大と海外展開加速、生産能力2.5倍へ

–今後の成長戦略をお聞かせください。

[山本]弊社は経済産業省・中小企業庁が進める「100億宣言※」に参画しています。引き続き、高周波・マイクロ波を利用した加熱技術をコアとし国内のさまざまな産業分野における加熱装置の市場を拡大することに加え、海外での事業展開を強化します。特に、既に実績がある中国やその他の東・東南アジア諸国への輸出を加速していきます。

–八尾工場の全面リニューアルが進んでいます。

[山本]100億宣言に取り組み売上高100億円を達成するためには、工場の拡張が必要でした。そこで、大阪府八尾市の八尾工場を全面的にリニューアルして技術開発力と生産力を強化し、装置生産量を最大2.5倍に引き上げます(写真2)。この拠点を中心に、誘電加熱技術のさらなる普及と誘電加熱装置の市場拡大を目指す予定です。

–食品工場長の皆さまにメッセージをお願いします。

[山本]弊社の食品分野の事業は「解凍」だけではありません。「乾燥」「加熱」「殺菌」分野も手がけています。全国の食品工場で「加熱工程」の困り事がございましたらお問い合わせください。

※100億宣言:中小企業が飛躍的成長を遂げるために、自ら「売上高100億円」という野心的な目標を目指し、実現に向けた取り組みを行っていくことを宣言するもの。

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