食品産業文化振興会、福和伸夫教授が講演 過去に学ぶ震災の備え、耐震性向上が必要

福和伸夫教授

福和伸夫教授

 日本食糧新聞社が主催する食品産業文化振興会は19日、講師に名古屋大学減災連携研究センターの福和伸夫教授を迎えて「過去の災禍に学ぶ大震災への備え~食品業界の事業継続のために~」をテーマに東京・八丁堀の食情報館で開催。コロナ禍で会合が制限される中、Web講演・受講となった。福和教授は「平成の時代は地震だらけだったにもかかわらず、産業界は耐震性の向上に対しての努力が少ない」と警鐘を鳴らす。

 福和教授は、歴史を見ると南海トラフ地震が起こる30年前から東北で地震が多発していることを知ることができるとした上で、「企業のBCPを見直す必要がある」と強調。

 現代社会は相互依存が強くなっており、自社工場だけが被災せずに残っていたとしても意味がなく、道路や港湾などの物流、情報・電気・水・ガスなどのインフラ設備が機能しなくなった際を想定して、すべてを含む復興計画ができているかと疑問を投げ掛けた。

 福和教授は南海トラフ地震などの巨大自然災害が懸念される中、中部圏における「業界団体」間の共助を促進し、併せて「ボランティア団体」「地縁組織」「行政組織」との協働を図り、広域的な災害対応の実現を目指して「中部防災推進ネットワーク」を設立。食品業界からの参加がまだなく、中部に本社がなくともぜひ参画いただき、ともに事前の復興計画を描いてみましょうと参加者に呼び掛けた。(阿久津裕史)

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