巣ごもり疲れで唐揚げ市場活況 製法・味付けに変化

ニュース 中食 2021.05.03 12223号 01面
コロナ禍で手軽な食卓おかずの一つに

コロナ禍で手軽な食卓おかずの一つに

 巣ごもり需要の拡大を背景に、唐揚げ市場が活況を呈している。コロナ禍で家庭内調理に疲れを感じた生活者が、手軽におかずの一つとしてプラスできる利点が重宝されている。近年、唐揚げ専門店も軒並み増え続けており競争は激化。スーパーマーケット(SM)惣菜としての唐揚げも、ここ3年で厚衣から薄衣へ、醤油ベースからだしベースの味付けへ急激にトレンドがシフトしており、売場をにぎわせている。(藤村顕太朗)

 日本唐揚協会の調査によると、メニュー構成比の7割以上が唐揚げを占める唐揚げ専門店数は、21年4月時点で前年比27.7%増の3123店舗と過去最高を更新し、直近3年間で店舗数は倍増。背景には、都市部を中心にチェーン店の出店ラッシュが増加したことが挙げられる。さらに、「ゴーストレストランやバーチャルキッチンなども含めれば5000店舗は超えるとみられる」(八木宏一郎専務理事)。地域別に見ると、関東が18年4月時点で382店舗に対して、21年4月には938店舗と最も伸び率が高い。

 こうした勢いに伴って、SM惣菜の唐揚げも専門店にならったクオリティーに近づけようとしのぎを削っている。肉の重量は従来の約25gから約35gへとボリュームアップ。唐揚げ粉はバッター(水溶き粉)からブレッダー(まぶし粉)へシフトすることで、肉と衣の比率は従来の肉7対衣3から肉9対衣1へと薄衣化が進んだ。衣が薄い分、水分や油の吸収がなくサクッとしたジューシーな食感を味わうことができる。ただ、ブレッダーはオペレーションの統一が難しくなるため、SM各社はマニュアル化や社内研修に力を入れている。

 さらに、ベースの味も主流の醤油からだしに変化し、おいしさは格段にアップ。「酒飲み需要に合わせるというよりは、ご飯と一緒に食べてもらうことを意識している」(八木氏)とみられ、だしのうまみを利かせることで食卓ご飯を盛り上げたい狙いがあるようだ。このほか、SM惣菜の唐揚げは個性的な商品が多く、昨今は「地元の~」「何種類の~」「~段仕込み」などとご当地の産地や複数の製法を組み合わせたことを特徴としてうたった商品名称が目立つ。

 4月14日に開催された「第12回からあげグランプリ」のSM総菜部門で最高金賞を受賞した商品の特徴を見ると、伊徳(秋田県)の「旨塩唐揚げ(男鹿の藻塩使用)」は、青森県産のニンニクとリンゴ果汁で若鶏もも肉のうまみを引き出した。ライフコーポレーション(東京都)の「純和赤鶏むね塩唐揚げ」は、揚げてから一度寝かせ、余熱で中まで火を通してから再度揚げる二度揚げ製法により、衣のサクサク感を実現。平和堂(滋賀県)の「じゅわ旨!!生姜香る鶏もも唐揚」は、高知県産生おろしショウガや青森県産リンゴ果汁などを混ぜ込み、仕上げに肉の表面に生おろしショウガをからめる製法を採用した。フジデリカ・クオリティ(愛媛県)の「唐ふじ 鶏ももから揚げ」は、青森県産のニンニク、高知県産のショウガ、3種類の醤油を配合することで、醤油のうまみと香りを感じられる。

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