食肉加工品特集
◆食肉加工品特集:巣ごもり需要で家庭用は伸長 業務用は苦戦続く
食肉加工品業界では、主力のハム・ソーセージ類が量販店サイドから、ここ数年ダウントレンドと認識されるなど苦戦を強いられていたが、コロナ禍で状況は一変。業務用は低調だが、家庭用は学校休校や外出自粛による巣ごもり需要で、即食・簡便ニーズに合致したハム・ソーセージ類や、ハンバーグ・惣菜類などの調理加工品が大きく伸長している。食肉加工品生産数量の20年1~3月累計でも前年比3.5%増となっている。一方で既存主力商品のシェア争い激化による収益悪化や、物流コスト・人件費などの経費負担増といった課題は残っている。また、今回の家庭用商品の需要増について、量販バイヤーは一過性に終わると慎重だ。巣ごもり消費によって、消費者に食肉加工品の利便性やおいしさをあらためて認知してもらい、コロナ後も需要の取り込みを図る取組みや、消費者視点に立った新機軸商品の開発が重要となる。(廣瀬嘉一)
●コロナ後の対応が鍵に
19年(1~12月)の食肉加工品生産数量は前年比0.6%減の55万0925tと減産となった。食肉加工品業界を取り巻く環境は厳しく、量販店では定番商品中心の展開が続き、新商品の導入が難しくなっている状況は変わっていない。ライフスタイルの変化に伴い簡便ニーズが高まる中、ハンバーグや惣菜類などの調理加工品は近年、伸長傾向にある。19年の商戦は、調理の手間を省いた簡便対応商品や、一部高品質商品などが伸びていたが、有力メーカー各社のハム・ソーセージ主力商品の競争激化による単価下落が響き、全体では伸び悩む結果となった。健康機軸商品として拡大していたサラダチキンは鈍化傾向となっている。
20年1~3月累計の食肉加工品生産数量は▽ハム類2万3362t(前年比4.3%増)▽プレス類5104t(同4.2%減)▽ベーコン類2万3143t(同1.6%増)▽ソーセージ類7万5310t(同4.4%増)▽総合計12万6919t(同3.5%増)とプレスハム類以外は前年を上回っている。新型コロナウイルス感染症拡大による長期外出自粛の影響で3月以降、家庭用商品は好調に推移している。
今春はコロナ禍で業務用は低調。家庭用は学校休校や外出自粛による巣ごもり需要で、即食・簡便ニーズに合致したハム・ソーセージ類や、ハンバーグ、弁当商材、ピザ・チキンナゲット、惣菜類など幅広い商品群が伸長しているが、今回の家庭用商品の需要増について、量販バイヤーは一過性に終わると慎重な姿勢をみせる。
巣ごもり消費で、消費者に利便性やおいしさを再認識してもらうことで、コロナ後も需要を取り込む取組みや、消費者視点に立った新機軸商品の開発を進めることで、売場の活性化を期待したい。
20年春夏新商品については、各社が健康志向に対応した大豆ミート中心のノンミート商品を順次投入している。話題性もあり予定通り売場に配荷されたが、コロナの影響で各カテゴリーの定番商品が順調に売上げを伸ばしているため、アイテム数がカットされ、従来の定番中心の売場に戻っており、現状動きは鈍い。各社は今後の育成商品としていることから、中長期での拡販を見込んでいる。
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