カリフォルニアくるみ協会がリアル・オンラインセミナー クルミとPBテーマに講演

 ●クルミ使用惣菜6品の試食も

 カリフォルニアくるみ協会は11月22日、食品・惣菜メーカー、SM・CVSの惣菜・食品開発担当者、外食企業向けに「今知っておきたい!世界が注目の素材“くるみ”を活用したプラントベース製品・メニュー開発セミナー」を、服部栄養専門学校(ANNEX別館3階)を会場とするリアルとオンラインのハイブリッドで開催した。

 参加費は無料で、会場ではクルミを使ったプラントベース惣菜6品の試食も行った。セミナーではInnova Market Insights日本カントリーマネージャーの田中良介氏が「日本のプラントベース市場とくるみ素材の可能性」のテーマで、ONODERA GROUPエグゼクティブシェフの杉浦仁志氏が「レシピブック完成記念『くるみ×プラントベース食材のおいしいペアリング』」のテーマで、それぞれ講演した。

米国大使館農産物貿易事務所
所長 チャンダ・バーク 氏
カリフォルニア くるみ協会日本代表事務所
ディレクター 福田 久雄 氏

 講演に先立ち、米国大使館農産物貿易事務所代表チャンダ・バーク氏は「カリフォルニアくるみは米国が誇りを持って世界中に供給している農産物の一つ。米国ではプラントベースフード(PBF)がトレンド。日本市場でも興味を持つ人が増えている。セミナーではカリフォルニアくるみを使った場合の味や健康効果、汎用(はんよう)性について知っていただく良い機会になる」とあいさつした。

 同協会日本事務所ディレクター福田久雄氏は「多くのナッツ類がある中、平仮名の“くるみ”は温かいイメージがある。クルミは紀元前7000年から食べられ、日本では各地の郷土料理や昔ながらの菓子に使われ、なじみがある。プラントベース(PB)は世界的に大きなトレンド。なぜ今注目されているのか、マーケティングの観点から田中氏に、ビーガンまたはベジタリアンの商品開発の実践を杉浦シェフに提案いただく。身近な木の実“くるみ”を再発見していただきたい」と述べた。

 田中氏によれば、世界の食トレンドは日本に比べて数年早く、欧米を中心に始まったPBの流れは各国に浸透しているという。PBに対する消費者意識は、健康、地球環境に良いとしている一方、味と食感が悪く価格が高い上、加工されすぎているというネガティブな見方もある。

 PBFには原料が持つナチュラルな栄養、動物性と同等の栄養価、動物性以上の栄養価の三つのアプローチがあるが、最近では植物性そのものを楽しむ脱代替食の概念が広がっている。

 クルミも同様、サラダのトッピングなどとして素材を生かした開発が行われている。ただ、日本ではベーカリーとスナックに利用が偏っていて、米国のようにシリアルやサプリメントなどクルミのオメガ3脂肪酸の豊富な含有量など素材としての高いポテンシャルを生かした利用に伸びしろが期待できるという。

 杉浦シェフはプラントベース、ビーガン料理の第一人者として活躍している。

 杉浦シェフによれば、地球環境への配慮、食糧危機に対する代替食へのシフト、食事療法から健康に導く意識の変化などをキーワードに外食や加工食品でも市場規模が拡大し、これらのキーワードを満たすオールマイティーな食材がクルミだという。

 健康長寿には毎日クルミを7、8粒(約30g)摂取することで、心、体、脳が健康になるとしている。クルミは、ナッツ類で唯一オメガ3を豊富に含み、認知機能向上効果が報告されている。

 また、クルミと相性が良い植物性素材のペアリング例として、ブロッコリーやケールなどの野菜、リンゴやバナナなどの果物、はちみつやチョコレートなどの甘味料だと述べた。

 会場では、カフェレストランで提供しやすいメニューとして大豆ミートとクルミパウダーの配合を数十パターンも検討して、FABEXでも好評を得た「くるみハンバーグ」や「くるみと紫キャベツのアントシアニンサラダ」、干豆腐を使った「ジェノベーゼパスタ」などについてオペレーション方法も披露しながら試食提供した。

INNOVA MARKET INSIGHTS
田中 良介 氏
ONODERAGROUP エグゼクティブシェフ
杉浦 仁志 氏
くるみハンバーグ

 同協会のYouTubeチャンネル(https://youtu.be/7hNtIfxOBUM)では「“くるみ”を活用したプラントベース製品・メニュー開発セミナー」を9日から、アーカイブ公開している。(小島麻由美)

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