サントリースピリッツ、「ティーチャーズ」本格展開 スコッチ家飲みを開拓

酒類 ニュース 2020.04.20 12041号 01面
キャンペーン中の売場(酒ゃビック西春店)

キャンペーン中の売場(酒ゃビック西春店)

サントリースピリッツが家飲みシーンに特化したスコッチウイスキー「ティーチャーズ」の本格展開に乗り出した。3月にはブランド初となるTVCMを投入し、量販店での取り扱いを一気に拡大。本格感のあるスモーキーな味わいが手頃な価格で楽しめると人気で、3月の売上げは前年比で2.5倍超となった。急成長する国内スコッチ市場のもと、国内ウイスキー最大手のサントリーがスコッチの家飲み需要の取り込みに向けて攻勢をかける。=関連記事9~11面(岡朋弘)

19年の販売は12万7000ケース(8.4L換算)と前年から42%増え、ブランドの取り扱いを始めた14年と比べ約20倍の規模に成長した。足元の販売も好調で、新型コロナウイルスによる家飲みも追い風となったもようだ。

3月上旬からはブランド初となるTVCMを展開し、情報発信を強化。タレントの大泉洋をCMキャラクターに起用し、「こっちのスコッチ、スモーキー。」というキーコピーでコミュニケーションを始めた。CM放映に合わせて営業活動を強化したことで、全国のSMや酒量販店への導入が一気に進んだ。定番品の「ハイランドクリーム」(700ml製品)の酒量販店への配荷率は20年1~3月で78%と前年同月から19ポイント上昇した。

20年は手頃な価格のスモーキースコッチという価値を前面に打ち出しエントリー層の取り込みを強化する方針。年間の販売は22%増の15万5000ケースを見込む。

ブランド担当の鶴岡剛ウイスキー事業部3グループ課長は「お客さまの商品選択肢を増やすとともに、中期的にはモルトウイスキーといったさまざまなウイスキーにお客さまの関心を広げていきたい」と期待を込める。

今後は認知度と配荷率のさらなる向上が課題。特にスコッチへの興味・関心が高い消費者に向けて、ブランドホームページなどを活用しさまざまな楽しみ方を発信して、需要拡大に向け提案力を強化していく構えだ。

ティーチャーズは1863年に英国で誕生した150年以上の歴史あるブランド。サントリーは14年に米ビーム社を買収したことでブランドを取得した。

ハイランドクリームはアードモアをキーモルトに約30種のモルト原酒を組み合わせた高いモルト使用比率が特徴のブレンデッドスコッチ。700ml瓶入りで1270円(希望小売価格・税抜き)とコストパフォーマンスが高い。

ティーチャーズは求めやすい価格のスモーキースコッチという消費者ニーズをとらえ、50~70代男性を中心にリピート率が非常に高い。飲用シーンや気分に合わせてストレートやロック、水割り、ハイボールなどさまざまな飲み方で楽しまれており、割り材によって香味の変化が楽しめる点も人気という。

ティーチャーズは売上構成比の99%を家庭用が占め、サントリーのポートフォリオでこれまで手薄だった「エコノミークラスの家庭用向けスコッチ」のポジションを確立している。16年ごろから国内スコッチ市場の成長が加速したため、店頭販促を強化し堅調に販売を伸ばしてきた。

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