コメにストレスをかけない「への字農法」でリゾット専用米の増産に挑戦

妙高山麓をバックに花の米メンバー。右から松野千恵(長女)、松野直人(長女夫)、黒川薫(母)、黒川沙希(三女)氏

妙高山麓をバックに花の米メンバー。右から松野千恵(長女)、松野直人(長女夫)、黒川薫(母)、黒川沙希(三女)氏

花の米(新潟県上越市)は、妙高山麓のわき水に恵まれた環境でコメにストレスをかけないが手間のかかる「への字農法」に取り組んでいる。カニ殻使用の独自肥料で作った「越後かに米コシヒカリ」や、日本ではまだ少ないリゾット専用米を栽培するなど先駆的な農業に挑戦している。

11月に新潟市で開かれた食の総合見本市「フードメッセinにいがた」ではイタリア原産のリゾット専用カルナローリ米「RISO」が、県内のイタリアンシェフの目に留まり商談が進み、増産の検討に入った。

同社は昨年に続き、今年も同展示会に出展し成果を上げている。初年度は他の出展者の様子を参考にし、来場者の動きを観察した上で今年、訴求商品を「RISO」に絞り込んだ。新潟県内ばかりか国内でも国産リゾット米の流通はまだ少ない。

妙高山麓をバックに花の米メンバー。右から松野千恵(長女)、松野直人(長女夫)、黒川薫(母)、黒川沙希(三女)氏

松野直人・千恵夫妻は、展示ブースで試食を中心にすると「本当に出会いたい仕入れ担当者との貴重な時間が奪われるかもしれない」と考えた。ここぞと思った時に一番おいしく提供できるよう、コンソメベースの下味を付けたリゾットを少量ずつ調理。「試食したイタリアンのオーナーシェフを中心に商談が進んでいる」と語った。

同社は「RISO」を刈り取り後、乾燥機で2日間乾燥させ、4度の冷蔵庫で1年以上熟成させる。この熟成によりコメが硬化し、でんぷん質が糖化する。コメ本来のうまみが増し、煮崩れしづらく、コメに水分を含みやすいリゾットに最適なコメになるという。現在「RISO」の年間生産量は約66俵だが、将来に向けて生産量を増やしていく考え。

黒川義治花の米社長は「知人のイタリアンシェフから栽培してほしいと一握りの玄米をもらった。日本のコメとほぼ同じ栽培方法だが成長が早い。高さ150cm、稲は太くて倒れづらい。3年寝かす(熟成)とさらにおいしい」と強調する。

RISOをアピールする花の米ブース(フードメッセinにいがた2019)
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