ジャージー乳牛を赤身肉としてメニュー開発 新たな市場開拓へ
新たな牛赤身肉誕生に向けた事業が今、進んでいる。一般社団法人全日本・食学会は、JRA(日本中央競馬会)の助成事業「シェフと支える放牧牛肉生産体系確立事業」を2017年度から推進。同事業は、専門農家以外でほとんど流通されることがなかった「ジャージー種」や「ブラウンスイス種」のオス子牛を育て、マーケットを確立しようという取り組みだ。
「ジャージー種」「ブラウンスイス種」は国内では、牛乳や乳製品の生産を目的として飼育されており、オスの子牛はタダ同然で処分されている。また、「ジャージー種」「ブラウンスイス種」のオスは太りにくいことからも、生産体系が確立されていない。これらのオス子牛を、国産飼料を与えながら放牧で健康的に育て、有効利用の可能性を引き出そうというのがこの事業の狙いだ。

牛は放牧で育てると赤身が多くなるため、脂肪交雑の多い牛肉嗜好だった日本の消費者には受け入れられない、とこれまでは考えられていた。しかし、昨今は赤身肉信仰が急速に高まっており、消費者のニーズに十分マッチするはずだ。

さらに全日本・食学会では、この赤身肉を広めるに当たって、さまざまな飲食店のシェフに大きな期待を寄せている。多くのシェフたちにジャージー牛の赤身肉を活用したメニューを開発してもらい、この赤身肉に新しい価値を付けていくことを目指しているという。
これまでにない付加価値を持つ赤身肉として、「ジャージー種」「ブラウンスイス種」が市場に根付くか、要注目だ。
