新型コロナ:米穀業界、産地から流通に至るまで非常事態対応急ぐ

農産加工 ニュース 2020.04.01 12033号 01面

日本の食糧を担う米穀業界では、新型コロナウイルス感染拡大による非常事態に備え、産地から流通に至るまで対応を急ぐ。現に3月25日、小池百合子東京都知事の週末外出自粛要請を機に、首都圏中心にコメ売場がカラになる事態が発生したが、1~2日で終息。これに先立ち2月27日、政府から全国の学校に休校要請が出された際の急激な需要増が、全国で3~4日続いたのに対し、混乱は少なかったという。

コメ卸最大手の神明は小池知事の発表を受け、即座に生産品目を「新潟コシヒカリ」と「秋田あきたこまち」「北海道ななつぼし」の普通精米、5kg入りに絞って生産を強化。首都圏で平常の3~5倍、全国的には約1.5倍の発注が寄せられたものの、その90~95%を供給。週末の28~29日には、ほぼ通常通り商品が揃ったという。

この要因について、同社森竜哉常務は「2月末の経験が生かされ、迅速な対応ができた」とする。ただ「国民一人一人が、国や業界からの呼び掛けに耳を傾け、落ち着いた行動を取ったこと」も大きかったようだ。

産地側ではホクレンが2月末、政府の休校要請に、地元北海道の緊急事態宣言が出されたことも重なり、道内や首都圏中心に「通常の2倍の受注が寄せられ、一気に品薄となった」(米穀部主食課)。だがこの後、消費地在庫を積み増したことや出荷・物流体制を強化したこともあり、「3月末のタイミングでは、大きな混乱はなかった」(同)とする。

ただ、産地・消費地ともに、緊急事態宣言の発令など不測の事態への備えが急務であることは間違いない。神明の森常務は「国からの要請を含め、工場や受注体制、物流インフラ、人員などすべての面で対応できる体制整備を整えている」とする。中でも「在庫の多くが産地倉庫にある中、まず原料が滞らないことが第一」という。

その一方で、消費者の非常時に備えた買いだめや在宅時間長期化による家庭炊飯の増加は、確かに見込まれるものの、家庭内コメ在庫が増えた反動減は必ず起こるとみていい。何より日本人のコメ離れが顕著となる中、年間3000万人を上回る訪日外国人の、大幅な胃袋縮小が及ぼす影響を、懸念する声も多い。(佐藤路登世)

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