スパイス特集

スパイス特集:業務・加工用=少量多品種への対応進む 「しび辛」ブームは安定へ

調味料 特集 2020.01.22 12000号 10面

業務・加工用の分野では主力となるコショウなどのスパイス原料が安定した価格を形成していることに加え、「しび辛」ブームで花椒やサンショウの需要が高まったことが加わり全体として堅調な推移が続いている。しかし19年は中国産ガーリックの価格上昇に加え、中国産唐辛子の高騰、さらには昨年後半から中国産ショウガの高騰気配が伝えられている。これらのガーリック、唐辛子、ショウガは日本国内での消費量が大きいスパイスであるため、これら中国産スパイスの価格動向が懸念されるところだ。

一方でコショウをはじめ洋風スパイスは、カルダモンなど一部スパイスで高騰しているものの全体としては安定した価格を形成している。コショウは世界的な供給量がその需要を上回る状況が続き、原料価格は軟化傾向となっている。現在の相場状況により、各スパイスメーカーは昨年以降、値下げを受け入れざるを得ない状況となっている。しかし、価格の軟化が始まって以降20年で4年目となることから今後は相場の反転が予想される。

業務用では花椒やサンショウを使用した「しび辛」ブームが市場の拡大に大きく貢献してきた。現状はこれまでの勢いはなくなりつつあるものの、安定した供給は続き長期的に「しび辛」が新たな味覚として市場に定着することが期待される。

家庭用と同様に業務用の市場でもシーズニングスパイスは新たな領域の商材として市場に定着しつつある。外食産業や中食産業における人手不足は近年、深刻さを増している。このため、ワンオペレーションで味が決まるメニュー調味料はその存在価値を高めている。シーズニングスパイスもメニュー調味料と同様な商品として市場は拡大傾向にある。現在は業務用でのシーズニングスパイスは容量の比較的多い商品が多いが、今後は業務用でもより少人数に対応した商品設計が求められることとなる。

エスビー食品は家庭用のメニュー系シーズニングスパイスの販売を業務用でも開始し、徐々にその数字を伸ばしている。業務用スパイス市場でも、少量多品種化は進んでいるが長期的には一層の少量化が求められることとなるだろう。

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