山本純子のスゴイぜ!業務用冷凍食品(33)井戸商店「ねじねじくん」
●くるくるらせん状のイカ 曲がるのがダメで曲げてみた
「イカって面白い。形を変えられる唯一の魚介類でしょう。筒状になっている形すら、何かしてみたら? と語りかけているように感じます」とニコニコ話す大橋武一社長。いやいや、イカは詰めてくれとか、輪切りにしてくれとか言いたくて丸い形をしているわけじゃないと思いますが、イカと真剣に向き合うと“声”が聞こえるのかもしれません。
そんな楽しげな雰囲気、熱意から誕生した、岩手県釜石市、「いか工房」井戸商店の「ねじねじくん」が今回ご紹介したい商品。
商品写真を見ていただくとわかるように、一見イカの短冊切り加工品ですが、加熱するとクルクルらせん状になって仕上がります。ヒミツは表にも裏にも刻んだスリットです。見た目が面白く、メニューにボリュームが出て、タレもしっかり絡み、噛み切りやすく、歯応えも軟らかく感じます。
イカ短冊は曲がらない方向にカットするのが基本ですが、天ぷら用素材のカット方向を間違ってしまい、クレームを受けた失敗がきっかけ。なんで曲がるのか、曲がるのがダメなら逆に思いっきり曲げてみたらどうだろう、と大橋社長はひらめきました。鹿の子切りや松かさ切りは古くからあるので誰かもうやっているのではと調べてみたら、誰もやっていない。ならばと、2005年に「イカの加工品の製造方法及びイカの加工品」で特許申請・取得したアイデア商品です。
岩手県で獲れるスルメイカ加工から商品化しました。地元小学生の工場見学で、最後にねじねじくんの調理実演と試食をすると、とても盛り上がり、うれしかったそうです。学校給食の人気商材という理由もわかります。近年は、スルメイカの不漁が続いて品薄になるため、性質の似た輸入原料、大西洋産マツイカを使ったねじねじくんも発売しています。
さて、もう1品、ねじねじくんの妹「花ちゃん」をご紹介しましょう。これもヒット商品。身が分厚く大きいアメリカオオアカイカ(ペルー、チリ産)を使用して、加熱すると丸まる外側だけに切り込みを入れて一口大にカット。料理すると、半円に花が咲いたようなるかわいいイカ素材です。
ほんと、イカって面白い。
●商品概要
井戸商店「ねじねじくん」
規格=1kg×10
★ここがスゴイ!
「イカって面白い!」と社長が楽しそう