アポなし!新業態チェック(183)「エビノスパゲッティ」丸ビル店

2022.11.07 525号 11面

 ●プロント、フードテック駆使した新業態 世界初のパスタ自動調理ロボット、最速で熟練した調理人の味を再現

 プロントコーポレーションは今年6月末、パスタ専門店「エビノスパゲッティ」を東京・丸の内の丸ビルに出店した。同店は、同社とフードテック企業TechMagicが共同で開発したパスタの自動調理ロボット「P-Robo」を導入した新業態。この調理ロボットは、麺をゆで、具材やソースと混ぜながら調理し、皿に盛るまで、調理鍋の移動や洗浄を含めてすべて自動で行うシステムだ。厨房の省力化を図ると同時に、メニューごとに最適な加熱温度や加熱時間、調理スピードなどが設定されており、1食当たり最速45秒ほどで熟練した調理人の味を再現する。

 スパゲティは、「カルボナーラ」(850円)や「ペペロンチーノ」「ジェノベーゼ」(各900円)といったイタリアンの定番から、「和風おろし」(780円)、「ジャパニーズハーブ」(800円)のような和風のものまで、8種類を揃えた。サイドメニューは、「パン」(200円)、「ミニサラダ」(280円)、「ビッグサラダ」(850円)の3種類。好みのスパゲティに「パン」と「ミニサラダ」をセットにした「エビノスパゲッティ定食」(1250円)は、ランチに最適。おつまみメニューには、「セロリの浅漬け」(250円)、「クリームチーズ醤油漬け」(380円)、「発酵クリームポテサラ」(480円)などがあり、ほかにデザートもある。ドリンクはイタリアのワインとソフトドリンク類。テイクアウト用の包材も用意され、ランチタイムなどには店頭の販売もある。

 (価格はすべて税抜き)

 ★けんじの評価:厨房の人員削減と料理クオリティーを両立

 臨店してQRコードからスパゲティを注文し、厨房でマシンが調理をする動きを眺めていた。入口に近い席だったので間近で見ることはできなかったが、きびきびした機械の動きが頼もしい。皿に盛られたパスタにトッピングする作業は人間が行うようだ。出来上がってテーブルに届けられたパスタはちょうどよいゆで加減で、ソースともよく絡みおいしい出来栄えだった。

 この店にはいろいろと謎が多い。まず、「エビノスパゲッティ」という店名の由来が気になる。インスタグラムのアカウントから、「エビノ」とは「e-vino」のことらしいとわかる。イタリア語で「ワインと一緒に」といった意味なのかもしれない。と思ったら、公式リリースにそう書いてあった。そういえば、メニューにはたくさんのシチリアワインが並んでいる。しかし、なぜシチリアワイン限定なのだろう。メニューはイタリアンのようだが店舗のデザインはどこか和風だ。謎は深まるばかりである。

 おいしい料理は食べたいのだが、利用客にとって、どのような仕組みでそれが作られるかはあまり問題ではない。「世界初の技術」を駆使して、調理ロボットがプロの調理人と同じレベルの料理を作ったとしても、それが店のセールスポイントになるかどうかは微妙なところだろう。ハイテクの調理ロボットをあくまでも前面に打ち出すのか、それともおいしいスパゲティとワインが売り物のファストカジュアルなイタリアンなのか。このブランドの今後の展開が気になりつつ店を後にした。

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「エビノスパゲッティ」丸ビル店

 開業=2022年6月30日

 所在地=東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング地下1階

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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