海外情報 90年代のレストラン事業(ユナイテッド航空機関紙)

1992.04.06 1号 18面

ロールスロイスやメルセデス・ベンツで車置場が占領されていたロサンゼルスの高級レストラン“エルミターゼ”は今や閑古鳥が鳴いている。それに代ってフォードやトヨタの車の多いレストランが盛況である。

レストラン産業のコンサルタントによると、最近開店したレストランの六〇%はその年に姿を消し、残りの店の七〇~七五%が翌年には閉店をしている。そのくらい新規開店は困難さを増しているといえる。

生き残っているレストランも今までの経営方針を再検討し変革を余儀なくされている。早目に夕食をとりにくる人(アーリー・バード)への割引価格提供、割引クーポン、週末のビュッフェ・サービス、メニューおよびワインの幅を狭めての経費節約、有名コックの廃止、といったあらゆる考えられる方策がとられはじめている。

一口でいえば、レストラン事業は困難な時代を迎えつつある。黄金時代は一九八〇年代で終った。料理学校は栄え、有名コックは引っ張り凧で、若ものたちのレストラン事業への高い関心がみられ、室内装飾は芸術となったのがこの年代の特色であった。

一九九〇年代を迎え、不況が色濃く進行しているなかでレストランは新しい転換の途を選ばねばならない。低価格、入り易さ、よりよいサービス、価格にふさわしい価値の提供がその中心となりつつある。

反面で、小規模ではあるが高級な郊外型レストラン、または都市中心にあって歩いてゆけるような小さなレストランで価値にあった価格で真面目な料理を提供する店が繁昌するきざしがみえている。

九〇年代の消費者は気易く入れるレストラン、そこで自分たちの期待を少しばかり越えたメニューとサービスをえられるところを求めてゆくであろう。

(ユナイテッド航空機関誌1月号)

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