お店招待席 フランス料理「ママ・パティ(東京・千代田区)」 客が育む魅力

1996.05.06 100号 6面

客とスタッフとで作り上げてきた店の風格が魅力となり、客を集めているのがフランス料理「ママ・パティ」

東京・飯田橋駅近くに立地し、目立たない店構えながら一歩足を踏み入れると、長年にわたりフランスの香りを慕い集まる客で作られた雰囲気に、思わず引き込まれてしまう。

レストランではあるが、「食をとおしてフランス文化交流の場にしよう」(根元典子広報担当)とオープンしたのが一五年前。

当初は日本人シェフでスタートし、客に求められれば料理の食材、ワイン、チーズなどについての情報をスタッフともども勉強しながら提供したという。こうした蓄積が、「この店ならではの差別化」となり、好きな者同士が自然に集まり店を作り上げたといえる。

フランス人と日本人では、一般的に食に対する感じ方が違い「向こうの人は素材についてもよく確かめ、また、分からないことがあるときちんと説明を求めます」という。

最近では、日本でも若い人の間でこうした傾向が強まっていると歓迎する。

客からのさまざまの質問に対しては、不明な点があれば宿題とし、シェフに聞くか資料で調べるなど積極的に受け止める。

「何かの折、お客からそれについて聞かれると、覚えてくれていたのかと嬉しくなります」

料理に重点を置きながらも、食にまつわる情報を付帯することで食べることの大好きな人、フランスにかかわりのあるビジネスマン、研修生などが主な客層を占めるようになった。

メニューは、五年前に日本人のシェフからフランス人シェフに代わり、フランスで代々伝わってきたおふくろの味を色濃く出している。「フランス料理店は多数あるが、コピー的、また日本人向けにアレンジしたものが多い。うちでは伝統料理を柱に、フランス人シェフの感性で作られたメニューを売り物にしたい」とする。

食材は、フォアグラ、鴨、トリュフ、チーズなど国内では調達できないものはフランスから輸入し、代替できるものは国産を使うことでコストダウンを図る。

メニュー内容は、コース仕立の日替わりだ。ランチは、一〇〇〇円、一六〇〇円、二六〇〇円の三種。その日の仕入れ数量と客数により鶏肉が豚肉に替わることもあり、この柔軟さが逆に温かみを感じさせる。

ディナーは三八〇〇円、四八〇〇円、六五〇〇円の三コース。前菜、主菜、デザートはメニューの中から自分でチョイスし組み立てるシステム。ワインも常時一〇〇種ストックし、料理に合わせて勧める。

八年前にレストラン・ウエディングをいち早く提案しているが、今後も肩の張らないフランス文化情報発信地の役割に期待したい。

「ママ・パティ」

〈創業〉一九八一年

〈所在地〉東京都千代田区飯田橋一‐一二‐六、昭和ビル一階

〈営業時間〉午前11時30分~午後2時、午後6時~10時、土・日・祭日は予約のみ

〈店舗面積・席数〉四七坪、六〇席

〈従業員数〉正社員八人

〈客単価〉昼一七〇〇円、夜四五〇〇円

〈一日来店客数〉平均四〇人

〈客層〉OL、ビジネスマンを中心に、何らかでフランスに関係ある人

結婚式を控え、式場へ打ち合わせの帰りに立ち寄ったという橋山由美さん。

一〇〇〇円のランチを注文したが、「味付けはさっぱりし、値段の割に内容が充実しているのが良い」と満足の弁。もっと早くレストランウエディングのことを知っていれば、ここでレストランウエディングをやりたかったと残念そう。

結婚式は、気持ちはジミ婚だったが、結果として「日本人なので神社で式および披露宴を行い」、費用は三〇〇万円。両親からは気持ち分援助を受け、「できるだけ自分達で費用を捻出したい」と言う。

★ホタテ貝のサラダ仕立てキウイ風味

★ムール貝のファルシ(詰め物)エスカルゴバター風味

★イトヨリの白ゴマ風味

★鴨フィレ肉のクランベリー風味

★ヴァニラ風味のクレーム・ブリュレ

(すべて日替わりのコース仕立てのため、人気メニューは一定しないが、傾向としてピックアップした)

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