エスプレッソの香り前面に 外食業界相次ぎ全自動マシン導入「ジョナサン」
(株)ジョナサン(東京都武蔵野市、0422・37・6111)は平成5年12月、外食チェーン企業としては初めて全自動マシンのテストを開始した。この7月には一七九店ほぼ全店に導入が完了する。
コーヒーの見直しを始めたのは、もともとすかいらーくグループの一員としてファミリーレストラン(FR)とは一線を画したコーヒーショップレストランとしてスタートしたものの、いつの間にか利用客の目にはFRとの違いがわからなくなっていた時だった。当時、コーヒーを飲みたくてFRに立ち寄る人はいなかった。
「FRのアメリカンコーヒーは二八〇円と安くて何杯も飲めるがまずい」というのが定説。コーヒー通は専門店で五〇〇~七〇〇円のコーヒーを飲み、ケーキを付けると一〇〇〇円を超す。この客をコーヒーショップレストランという原点に戻って取り込めないか、しかもリーズナブルな価格で。これが全自動マシン導入の発端だ。
現在メニューには「一杯ずつ豆から挽いた本格コーヒー」としてブレンド(お代わり自由)二八〇円、モカ・フロスティ(コーヒーにチョコをミックスしたフローズンアイスタイプドリンク)三〇〇円、ヘーゼルナッツ(エスプレッソにナッツフレーバーを加え、ホイップクリームを乗せた)二八〇円の三種。
コーヒーの出数は全体の約五%だが、昨年1月の三店舗での一ヵ月のデータでは全自動マシンを導入したことによって総ソフトドリンク数が一五%アップし、全体の比率も二%アップであった。
この実験結果から全店導入を進めてきたわけだが「マシン導入によって恥ずかしくないおいしいコーヒーが出せるようになった。しかし、お客の舌は肥えているので挽き立てだけではウリにならない。味が大事。現在も毎月の試食ではコーヒーの試食回数が最も多い。豆の選定から抽出時間まで細かく検証している」(ジョナサン広報)。
このような細部の検証の積み重ねが収益に貢献していることは同社の二ケタ増収増益の九五年度決算でも明らかにされている。