話題の飲食施設「ワンザ有明ベイモール」東京・江東区 未来のモデル都市

1996.05.20 101号 8面

商業分野の初年度売上げ目標は五〇億円。うち、飲食は約六割のウエートを見込んでいる。施設利用は平日はオフィスワーカーや地域来街者、土・日はファミリー客やショッピング客などを主体に賑わっており、この状況で推移していけば、施設利用はさらに高まるものと予想される。また、隣接地には4月に入って日本最大の国際展示場「東京ビッグサイト」もオープンしており、地域への来街者は確実に増加する方向にある。年間一三〇〇万人。これは有明南地区に見込まれる来街者数(東京ファッションタウン=TFT発表)。一日平均三万人以上の来街者という計算になるが、同地区が東京臨海部の新たなレジャー、ショッピングゾーンとして、人々の関心を集めているのはたしかだ。

4月3日、臨海副都心・有明南地区に「WANZA ARIAKE BAY MALL」(ワンザ有明ベイモール)がオープンした。東京都と日本開発銀行、民間企業の共同出資(第三セクター方式)で具体化したオフィス、商業の複合都市施設で、店舗は物販、飲食、サービス(文化・教育・アミューズメント)など計四六店舗を集積する。このうち、飲食店舗はマクドナルドをはじめ、プロント、レッドロブスター、サブウェイなど一九店を展開、地域のオフィスワーカーや来街者の飲食ニーズに対応している。

東京臨海副都心は江東区有明にあって、二一世紀の高度情報化社会を想定した業務・住・文化・商業機能を一体化させた未来のモデル都市だ。

新橋を起点とする東京臨海新交通「ゆりかもめ」を利用すれば、二三分でこれる。

総面積四四八ヘクタール(一三四万四〇〇〇坪)。東京ドームの一〇〇倍、新宿副都心の一・七倍の広さ。

計画が中止されなければ、今年4月24日から八ヵ月間、「世界都市博覧会」が開催されるはずだった。

しかし“税金のムダ使い”“赤字が予想される”として青島都政になって中止されたのは周知の通り。

都市博に代わっては4月から今後一年間にわってコンサートをはじめ、スポーツ大会、展示会、国際会議などの各種イベント「シーサイドフェスタ96」がおこなわれる。副都心としての賑わいがギャラントされるということだが、すでに都民の新しいレジャースポットとしての関心は強い。

ワンザ有明(東京ファッションタウン=TFT)は東館(地上九階、地下一階)と西館(地上九階、地下二階)の二棟から成っており、東館の一階から二階には物販、飲食、サービスなどの商業施設、三階~五階に日本最大という大塚家具のショールーム。六階~九階にかけてはオフィス、西館は一階店舗、二階大・中・小の多目的ホール、三階~九階がオフィスというフロア構成で、オフィスには東館、西館合わせて合計二〇社、約三〇〇〇人が就労している。

オフィスの入居率は現在のところ五割だが、契約率八割なので、順次入居が進めば、最終的に四〇~五〇社、オフィス人口一万人以上になる見通しだ。

飲食施設は基本的には、これらオフィスの飲食ニーズを支援する目的で具体化したが、結果的には一般来街者やショッピング客の利用が主体になり、すでにこの利用形態はオフィス利用が従という状況になっている。

〈フードパテオ〉

・ハンバーガー「マクドナルド」、サンドイッチ「サブウエイ」、パオ・マントウ「マーシーズ」、コーヒー・パン・ワッフルコーン・フローズンヨーグルト「カプチーノ クラブ」

〈一般レストラン〉

・「とんかつ和幸」、ロブスター・カニ料理「レッドロブスター」、イタリア・パスタ料理「チャオ」(銀座トリコロール経営)、すし・魚料理「築地寿司岩」、海鮮丼・鮮魚料理「まぐろ家さん」、信州そば・地酒・郷土料理「そじ坊」、会席・日本料理「和倉温泉加賀屋」、喫茶・ダイニングバー「プロント」、南イタリア料理「アルパテーヌ」、サラダ・西洋料理「カフェバルコニー」

〈三つの味が楽しめる“味の森”〉

・多国籍・エスニック料理「クイクイ」、焼き肉料理「はや」、和風居酒屋「日本橋俵屋」

〈その他レストラン〉

・西洋料理「銀座トリコロール」ほか二店

「当初の考えでは、TFTの商業施設はオフィスサポートとしての出資であったのですが、日本最大規模という大塚家具のショールームが出店するのを契機に、オフィス機能より商業機能が前面に出て、今では商業・ショッピング施設という賑わいぶりです」(東京ファッションタウン(株)営業本部商業施設部担当部長佐々木元氏)

飲食施設は東館二階アトリウムコートと平行する形で、南側東西に展開しており、ファストフードから和・洋・中のレストランを集積する。

店は別掲のとおりで、入り口部分は通路を挟んでマクドナルド、サブウェイ、マーシーズ、カプチーノクラブの四店がFF系の「フードパテオ」を構成する。

このエリアでの出店は一六店、他エリアには物販・サービスショップなどの併設で三店が出店しており、ワンザ有明の飲食店舗は計一九店になる。

一九店舗の総客席数は一三〇〇席。昼三回転、夜二回転とすれば、一日当たり六〇〇〇人以上の客数という計算になるが、現実はこれ以上の集客数をみせている。

オープン当初の土・日二日間で、四万人の来街者があったが、このすべてが飲食利用者ではなく、三割の利用としても一万二〇〇〇人、一日一〇回転の集客力だ。客の入りが大きく予想を越えたので、店によっては食材を使いきって夜の営業を途中で中止したところもあった。

「土・日は会社が休みになるので、客不足を心配していたのですが、オフィス関係に代わって家族連れや若い人たちが来館しますので、終日大変な混みかたです。この状況でいけば、十分に目標は達成できるという雰囲気です」(前出佐々木部長)

飲食分野の売上げは全体で二九億円、商業部門の約六割を見込んでいるが、この状況では初年度の目標はクリアできるという見通しだ。地域への来街者は年間一三〇〇万人を予想(TFT)。ワンザ有明の集客力はますます高まるということだ。

・事業主体 東京ファッションタウン(株)

・代表取締役社長 植野正明

・会社所在地 本社=東京都江東区有明三ー一(Tel03・3542・5500)、大阪事務所=大阪市西区江戸堀一‐二‐一一(Tel06・445・9876)

・海外事務所 ミラノ、香 港

・設立 平成5年8月5日

・開業 平成8年4月3日

・資本金 一七二億四五〇〇万円(授権資本一八〇億円)

・代表取締役会長 藤森鐵雄

・事業分野 (1)ファッションタウンの建設、管理および関連諸施設の運営(2)ファッションビジネス振興に係わる事業企画、情報収集、提供(3)ファッションビジネスに関する教育・研修など(4)ファッションビジネスにおける研究開発・企画育成・支援など。

・主な株主 東京都、日本開発銀行、東京商工会議所グループ

・店舗面積 一階=二六〇坪、二階=二〇四〇坪(催事場一七五坪)計二四七五坪

・店舗数 物販一八店、飲食一九店、サービスショップ九店、計四六店

・駐車台数 五三〇台

・初年度売上げ目標 飲食二九億円、物販二〇億円、サービス一億円、合計五〇億円

・交通 東京臨海新交通「ゆりかもめ」新橋~国際展示場正門駅まで一九分、臨海副都心線新木場~同五分、高速湾岸道路他

・営業時間 物販・サービス=午前10時~午後7時30分、レストラン=午前11時~午後10時30分、一部ファストフード、カフェ=午前8時~午後9時30分

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