ベトナムの食=特派員レポート 料理は意外にあっさり味

1992.09.21 12号 11面

ベトナムといえば中高年の人にとっては、ベトナム戦争を想い出すが一般の人にとってはあまりなじみのない国の一つだろう。今回、ベトナムのホーチミン市を訪ずれる機会があったのでここでベトナムの“食”レポートをお届してみたい。

その前にまず簡単にベトナムの概況から紹介しよう。

正式な国名はベトナム社会主義共和国、首都・ハノイ。面積・三三万K㎡(九州を除く日本と同じ)、人口・約六六〇〇万人(約九〇%がキン族、他六〇の部族)、言語・ベトナム語(公用語)、気候・ハノイ(北部)微妙な四季がある。ホーチミン(南部)、雨期(4~10月)、乾季(11月~3月)のみ。通貨・ドン(DONG)、一〇〇ドン・一円。人件費・一ヵ月一〇~三〇US㌦(一三〇〇~三九〇〇円)、日本人一人でベトナム人一〇〇人が使える。

中産階級の幅の狭い国では外食が産業としては成り立たないといわれているが、その面ではこの国も典型。一般の人が食事をするというのは街の屋台が主流だ。

メニューとしては、ごはん(スープなどのぶっかけごはん)、麺類、それにベトナム春巻、エビちくわなどが代表メニュー。

タイなどと違ってベトナム料理は最初から辛い味つけがされているわけではなく、料理そのものはあっさりしている。

辛いものが好きな人は唐辛子を入れて、薄口好みの人はそのまま食べる。ラーメンも薄味で好みに応じてヌックマム(魚醤)、トウォンオット(唐辛子の味噌)などを入れてたべる。

またチャオトム(えびちくわ)は殻を剥いたエビをすりこぎのような木の棒で叩いてつぶし、すり身にしたものをサトウキビに巻きつけ炭火で焼いたもので、食べる時は芯にしたサトウキビを抜き取る。

なお、ベトナムはくだものも豊富で、ドリアン、マンゴスチン、ランブータン、レイシ、リュウガン、マンゴーといった南国のフルーツが市場など賑わしているが、中でもタンロン(ドラゴンフルーツ)はおそらくベトナムだけにしか見られない珍しいくだものの一つだ。

このくだもの、皮の色はピンクというよりは赤に近い色。手りゅう弾か、それともラグビーボールのような形をしており、スパッと切るとその中身の断面はまっ白で、これに白いゴマをふったような種(斑点)があり南部煎餠に似ていなくもない。スイカのように冷蔵庫などで冷やして食べると美味でシーズンは6月頃から8月にかけて出回わる。

また、缶詰もあり“牌火龍菓”の名前で売られている。

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