飲食トレンド:三つ巴パティ戦争、秘策練るハンバーガー大手3社
マクドナルド一人勝ちと喧伝されるファストフードのハンバーガー業界の動きがにわかにおもしろくなってきた。長い沈黙を破って(株)モスフードサービスが「二五年のモスの皮を破って」(清水孝夫社長)7月11日から全店のパティを使用肉ビーフ一〇〇%パティに切り換えると同時に、新商品三種を新発売、野菜も全店有機一〇〇%導入を断行した。
モスフードサービスのパティは豪州ビーフ一〇〇%が主流のハンバーガー業界で豚四〇%とビーフ六〇%の合い挽きパティで常にハンバーガーの人気トップを維持していたが、既存商品にとらわれずに「消費者ニーズが変わった」ことに対応、「“おいしさと健康”を考えたら豪州南部のタスマニアの広々とした大草原で牧草だけで育った健康な牛のパティにたどりついた」という経緯がある。
と同時に一部既存商品を一〇~二〇円値上げを断行した。業界最大手の低価格が消費者の強い支持を受けており、大人のハンバーガーを謳うバーガーキングも6月から主力商品のワッパーを含めて一部値下げをしている中での値上げは消費者の高品質嗜好がどこまで本物なのかを試すことなる。
業界では、さまざまな角度からハンバーガーの命であるパティの見直しが行われている。日本マクドナルドはこれまでの片面焼きのフラットグリルで焼成に二分強かかっていたものを四五秒に短縮する両面焼きの新グリル「クラムシェルグリル」の全店導入を急いでいる。
低価格で利用動機を促進させ、来店したお客を待たせないクイックサービスの充実で同一スタッフ、同一厨房でより多くの顧客対応が可能になる。
ロッテリアは昨年1月に「バーガー革命」としてロッテ中央研究所のロッテリア商品開発チームがパティの品質の向上を研究し、プライムビーフを開発、「柔らかい中にも歯ごたえのあるジューシーなパティ」を利用した新商品を投入して最大手の低価格に対抗している。
(2面につづく)