飲食トレンド:焼き肉の救世主・石焼きビビンバ 集客喚起の切り札に

1998.04.06 149号 1面

石焼きビビンバが大流行の兆しを見せている。牛肉の高級感が色あせ、メニューのマンネリ化に悩む焼き肉店業界が、集客喚起の即戦力として、石焼きビビンバに強い関心を示しているからだ。他業種の飲食店が追随する可能性も出てきそうだ。

なにしろ石焼きビビンバは、原価率が約二〇%で利益率が高い。目新しさも抜群。しかも野菜が豊富でヘルシー。手に入らないような特別かつ高級な素材も皆無。そのうえ高度な調理技術もいらない。

さらにいえば、お客自らがかき混ぜて食すという、日本人好みの提供方法である。

石焼きビビンバは、集客不振とメニュー開発に悩む飲食店にとって、まさに絵にかいたような救世主なのである。

しかし、なぜいまごろになって石焼きビビンバなのか。焼き肉店チェーン大手、(株)叙々苑の新井泰道社長はこう指摘する。

「いままでの焼き肉店は肉を売るだけで十分に儲かった。面倒な石焼きビビンバなどやる必要がなかったのです。また、石焼きビビンバは面倒なわりにはだれでもつくれるので、焼き肉店の料理人もばかにしていたきらいがある」

「しかし不況と牛肉の価格が下がった現在は、目新しく原価率の低いメニュー開発が必至の状況。しかも年々高まるヘルシー志向にも対応しなければならない。それで石焼きビビンバの必要性が再認識されはじめているのです」

時流が石焼きビビンバを強く押し上げたという構図である。

石焼きビビンバの利点は前述の通り。また、石鍋さえあれば、石焼きビビンバ以外にもユニークなメニュー開発ができる。他業種の飲食店が焼き肉店業界に追随する可能性はおおいにある。

「石焼きビビンバは日本人のライフスタイルに合っている。一年後には大流行するはずですよ」とは新井社長の弁。先行きが注目されるところだ。

叙々苑の「石焼きビビンバ」と「石焼きユッケビビンバ」(一二〇〇~一五〇〇円)は店によって異なる。

作り方は、石鍋にごま油を塗り、強火で四分、弱火で三分焼く。ごま油をあえたご飯を焼いた石鍋に詰め、モヤシ、ゼンマイ、ホウレンソウなどのナムルを乗せる。秘伝のコチュジャンを中央に乗せ、その上に肉そぼろを乗せ、卵を乗せる。仕上げにお客自身がよくかきまぜる

ポイントは、石鍋は焼く音が変わるまで焼く。コチュジャンを肉そぼろでうまく隠す。

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