ここがツボ売れる惣菜(1)スチームコンベクションに挑戦する
惣菜弁当専門店になぜオーブンが無いのだろうか(ある店があったらごめんなさい)。スーパーマーケットの惣菜デリのバックヤードには立派なスチームコンベクションオーブンが入っているのに、こっちには無い。これでは最初から負けを認めているようなものではないか。
といって文句をつけたところで、無いものは無いのだからどうのこうのといっても話が進まない。グチを言っても始まらない。
それではオーブンが無くても、チキン照り焼きや骨付ももローストを作れないか? もし作れたらチキンの照り焼きをたっぷりのせた弁当や夕食のおかずで骨付ローストも照り焼きも作りたてをそのまま売りたいのだ! という料理のチエを授けよう!
まず、鶏肉(もも正肉照り焼き用、骨付もも)を用意して、調味料の醤油を水で二倍に薄めた液に一五分間漬けておく。
一五分たったらこれを取り出し(漬けすぎぬように注意する)水気をよく拭き取って、一八〇度Cの油に入れて、もも正肉はきっかり一分間、骨付ももは一分三〇秒、油で揚げる。鶏肉はいずれも焼いたような揚げたような感じで揚がるはずだ。
次に「焼きとりのたれ」(業務用でよい。なかなかいいのがないが、近いうちに出来上がるのでその時は紹介したい。今は好みのもの)を用意する。
鍋を用意する。焼きとりのたれを半分、水を半分鍋に入れる。半半、つまり一対一だ。沸騰させたら火はぐっと弱火にして、この中に先ほどの揚げた鶏肉を入れてとろ火で煮るのだ。照り暁きは三~四分、骨付ももは五~七分で火が通る(注=鶏肉の厚さで火の通りが異なるのできちんと確認をすること)。
煮えたら取り出し、たれをよく切ってから、皮の表面にバーナーでさっと焼き目を付ける。バーナーはホームセンターに売っている。カセットコンロのバーナーに口を付けるタイプでよいのだ。一〇〇〇円ちょっとぐらいで買える。
さあどうだ! 立派な立派なローストチキンの出来上がりだ。なに、照り焼きじゃないのかって? どちらでも同じだ。よだれが出るくらいにうまく仕上がっているはずだ。
肉をいっぱい入れたチキン弁当を作って売り込もうではないか。四五〇円くらいで売れば大ヒット間違いなし。夕方のローストチキンは一本一八〇円だ。もっとも朝作っておいて夕方になどというばかなことをしてはならない。一〇分くらいで作れるのだから、いつでも作りたてを売るようにすること。冷めたものを売るようでは惣菜専門店の風上にもおけぬ。
(惣菜産業新聞より転載)