カフェ特集:低価格カフェ
好立地への大量出店が加速
昭和55年に本格的にスタートしたセルフサービス型の低価格カフェは、今や全国に二〇〇〇店を数えるほど成長し、全喫茶業で消費されるコーヒーの一〇%を超えるまでになった。この成功した要因は数多くあるが、大筋は次の通りである。
(1)FLRコストは七〇%以下(2)人時売上高(売上高÷労働時間)はFFS並みの五〇〇〇円/時超が可能(3)ドリンク提供を一〇秒~九〇秒以内にできる高機能なキッチンシステム(4)喫茶店並みのアトモスフェア(雰囲気)とフレンドリーな接客サービスの提供
以上のことから、坪売上げ三〇万円超を想定した場合、売上げの一〇%を家賃比率に落とし込めるため、FFS大手に匹敵する好立地出店が可能になった。
当初、小型で都心部中心だったこれらのカフェは、表3・4が示す通り、業態の多様化と出店条件の緩和により、新規出店が飛躍的に加速している。「スターバックス」など海外からの新規参入が相次いでいることは、この市場の大きさを実証している。
テークアウトなど多様化も
これらで特筆すべきは、(1)二つの業態を組み合わせて高い売上高と収益率を目指す「二毛作型店舗」(2)一つの来店で二つの購買目的を果たす「二期作型店舗」、である。二毛作型店舗は、すでに一〇年以上の実績を持つが、二期作型店舗は今後の有望株である。二期作型店舗の典型事例を挙げるならば「カフェベーカリー」であろう。
カフェベーカリーとは、カフェ部門が売上構成比率の五一%以上を占める業態であり、ベーカリーカフェの対極に位置づけられる。コーヒーに加えてベーカリーや菓子類をメーンアイテムとし、イートインのみならずテークアウトも充実している店である。最近は、これに生活関連商品を組み合わせたキッチンブティックの店も出現しており、多様化が進んでいる。
以上のようなセルフ型カフェの台頭は、世界規模の潮流となっており、メーンアイテムであるコーヒーへのこだわりがブランドイメージに直結しているのも興味深い。(4面につづく)