ここがツボ売れる惣菜(10)話題の基本商品で繁盛店
「今、自分(経営者)のやっていることが、本当に客に喜ばれているのだろうか、と考えたことはありますか」と経営者一〇人に問うと、「考えています」と答えてくれる。そして「客は喜んでいると思います」という返事が返ってくる。
でもそう答えながら目や顔に心の動揺が表れている。なぜなら、売上げが昨年対比を大きく下回っているから。だからこそ、強がりで喜んでいるといってはみたものの、心は動揺するのだ。
ここで忠告しよう。もう見えや体裁を捨てて「客は喜んでいないのだ!」と大声で言おうではないか。そして、唐揚げも弁当もどうしたら客が喜ぶのか努力して商品リニューアルを考えるのだ。本気で本気で努力をしよう。
「先生、若鶏の唐揚げがじり貧の売上げなのです。どうにかなりませんか」と最近よく質問される。「今の唐揚げは経営者としておいしいと思いますか」と聞くと、「冷凍の肉を使っているし、揚げすぎてかたいし…」と、自店の唐揚げがおいしくないことを告白する。
「私は肉屋さんも教えているが、はやっている肉屋さんは『ひき肉』と『小間切れ』と『切り落とし肉』をしっかり売っている店なんです。惣菜屋さんは『コロッケ』『メンチカツ』『鶏の唐揚げ』と『弁当』『丼』ではないですか。それを冷凍食品や人任せにしてもうかるはずがないでしょうに!」としかることにしている。
真剣に基本商品を作り上げるのがもうけの早道だ。
今、ニンニク醤油味の唐揚げが売れている。ニンニクをたっぷり加えて、プンプンとにおう唐揚げである。
ニンニクは嫌われると思ってはだめ。嫌いな人がいる半面、好きな人はたまらなく好きなのだ。ましてや今はニンニクブーム。ギョウザだってニンニクが効いている方がよく売れる。世の中は健康ブーム。風の吹き方もきちんと見ておかなければだめだ。
ニンニク・グルメコーナーなるものをつくってみるのもよいだろう。メニューは、ニンニクの唐揚げ、ニンニクの若鶏唐揚げ、ニンニクが効いたギョウザ、ニンニクたっぷりピザ、ニンニクの効いたスタミナコロッケ、ニンニクの効いたビビンバ丼など、メニューはいろいろと作れる。口コミ話題もたっぷりだ。
不景気になるとニンニクが幅を利かせる。これは昔からのパターンである。この不景気はもっともっと続くはず。人々は懸命に働かなくてはならない。だからニンニクの力を借りて頑張るのだ。不況を勝ち抜くへそは、ニンニクの魔力である。さあ、ニンニクメニューの研究をしようではないか。
(惣菜産業新聞より転載)