ヒット食材パワーの徹底検証:味の素「士幌ポテトサラダシリーズ」

2000.02.07 197号 9面

外食市場の活性化に貢献した業務用加工食品の功績を記念表彰する「業務用加工食品ヒット賞」は、本紙創刊五周年を契機に各関係団体協力のもと創設された。これまでに「和食」「洋食」「中華」「給食」の四部門で計三六製品が受賞に輝いている。これらの製品は、昨今の消費低迷のなかでも元気いっぱいだ。ではヒットの要因は何なのか。このシリーズでは、受賞ヒット製品の開発コンセプトと成功要因を徹底検証する。今回は、洋食部門で受賞した「士幌ポテトサラダシリーズ」(味の素(株))。

ポテト好きな女性は多い。ホクホクした食感やうまみもさることながら、ビタミンCや繊維質が豊富で、体の内側からきれいにしてくれる優れものだからだ。

しかもポテトのビタミンCは加熱しても破壊されにくい。ポテトサラダは現代人の偏りがちな食事にバランスをもたらす栄養食なのである。

そんなポテト人気に加えて、産地指定という独自色、栽培からこだわった品質で圧倒的な売上げを誇るのが味の素(株)の「士幌ポテトサラダシリーズ」だ。

同社が業務用ロングライフサラダ分野に参入したのは平成元年。当初から好調なすベりだしではあったが、平成5年に北海道士幌町農協とタイアップし、「士幌ポテトサラダシリーズ」として打ち出した。これが現在、年間売上げ三〇億円強の大型ヒット商品となっている。

「よい製品はやはりよい素材からなんですね。原料選びにこだわった結果、士幌町のポテトにいきついたんです。ここのポテトはでんぷんが多く、ホクホクしてとてもおいしく、ばらつきや貯蔵面での不安もなくなりました」(味の素(株)食品事業本部食品部業務用グループ・岡本明専任課長)

原料を特定したことで「作り手と顔が見える関係」を結ぶことにも成功した。土作りや輪作での栽培など、生産面からの「うまいポテト作り」に力を入れる。

収穫面に気を遣うだけに、製品化の技術も抜きん出ている。基本的には工場に在庫を置かず、その都度農協に発注し運び込む。泥つきのジャガ芋が、皮むき、蒸し煮、マヨネーズとの混合、充填を経て製品になるまでわずか一時間足らず。まさに「生き造り」の発想で、ポテト本来のうまさを最大限に生かしている。

工場からはチルドで流通。埼玉県のポテトサラダ専用工場が間に合わなくなり、九九年春、京都府(福知山)に第二工場が完成した。これで関西から九州までのエリアで、より早くフレッシュさを届けることが可能になった。

「士幌ポテトサラダシリーズ」は現在八アイテム。

素材の風味を大切に、ポテトのカットを大きめにした「士幌ポテトごろごろサラダ」は売上げ全体の六割を占める人気商品。

このほか、ポテトを程よくつぶし、ニンジンやグリンピースの彩りも豊かな「士幌ポテトつぶしサラダ」、ソーセージを加えた「士幌ポテトマセドアンサラダ」、うす味仕立てでつけ合わせ向きの「士幌ポテトうすあじサラダ」、ポテトを大きくスライス、玉ネギのシャキシャキ感とマッチした「士幌ポテトスライスサラダ」、ポテトを千切りにし、スパイシーな味のマヨネーズであえた「士幌ポテトせんぎりサラダ」、減農薬・減化学肥料栽培の男爵芋、玉ネギ、ニンジンを使用した「士幌ポテト男爵サラダ」、フレッシュゆで卵をバランスよくあえた「士幌ポテトタマゴミックスサラダ」がある。

各商品の規格は一㎏袋×六。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: 味の素