めざすは一流MISS料理人:トラットリア・マルーモ台場店・田村綾子さん

2000.05.01 203号 24面

高校時代はハンドボールの選手。推薦で大学進学を考えていたが「落ちちゃって」(笑)。そのとき本当に好きな道に進もうと、盛岡市内の調理師専門学校へ。

子どものころから料理好き。月に二回、家族連れ立って外食する日があった。

「ガイドブックを開いて、今度はこの店へ行ってみようと目星をつけたり『あの料理はおいしかったね』と言い合ったり」そんな楽しさが食との出合いの原点だ。

卒業後、学校の紹介で宮内庁の食堂勤務となる。三〇〇人ほどいる職員と、見学者が対象で、定食ものが中心だった。

「ときに会席を作ることもありましたが、仕事として考えるとあまり身につくことがなかった」ため、三年働いて転職を決意。「興味あるイタリアンで、仕事が覚えられるところを」と、食べ歩いて目をつけていたマルーモの求人広告に応募。昨年春から晴れてスタッフの一員となり、まずフロア研修からスタートした。

「忙しいときはお客様が四〇人ぐらい行列になるんです。接客は初めてでしたが、手際よく動き、お客様の求めているものを察知できるようになれば満足していただける。これはキッチンでも同じことなんだと実感します」

今年1月からキッチンに入り、ピザ場を経て、サラダ場を担当。ストーブ前のアシスタントとして、肉をたたいたり小麦粉をはたいたりもする。同店のキッチンは通路側から小窓を通して見える設計で、きゃしゃな田村さんの奮闘ぶりも垣間見える。「お客様から手を振られてびっくりすることも」(笑)。

「皆が力を合わせて一日を無事送ったときの達成感は何ものにも換え難い」という田村さん。

「スポーツの道に進んでも、ある程度の年齢になったら続けられない。その点、料理人は一生できる仕事。この職業を選んで本当によかったと思っています」

将来はシェフになるか自分でペンションを経営したいと考えているそうだ。

◆たむら・あやこ=一九七六年盛岡市生まれ。父は高校教師で、母と兄の四人家族。宮内庁食堂時代は寮だったので、いまは横浜で一人暮らしを楽しむ。休日はスキー、スノーボード、テニス、水泳などスポーツで息抜き。食べ歩きも趣味。

◆私のおちおし食材

個人的にも好きなのが生ハム。うちで使っているのはチッテリオです。赤坂の店など店舗によっては、ひと手間加えた一皿にしますが、お台場の場合は観光地なのでスピードが勝負。さっと出せる点でも重宝しています。

味も輸入の関係でイタリア直で入るようになってから、ぐんと良くなった。昔はしょっぱかったイメージがありましたが、生ハムの質が向上し、生ハムを楽しみにいらっしゃるお客様も多くなっている。

実はまかないでもよく生ハムは使うんです。アーリオペペロンチーノにスライスした生ハムを加えたり。とてもおいしいですよ。

◆料理人を目指す後輩へ

店に入って一年。まだ自分の仕事しか見えていないけれど、全体を見て、自分の仕事プラスアルファで動けるようになれば、一人前になれると思います。

経営者としての視点をどんどん培ってほしいですね。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら