全国焼き肉繁盛店特集:札幌「サッポロ焼肉・大将」

2000.09.18 212号 2面

札幌の南市街地に店を構える、郊外型焼き肉店「サッポロ焼肉・大将」がオープンしたのは平成元年。俗にいう「バブル経済」に陰りが見えはじめたころだった。オーナーの村山修さんは、「これからの飲食店は社用族ではなく一般のお客さん相手が主流になる。町の中心部や薄野で高級店を経営するよりも、住宅街に気取らない店を開き、家族連れや車の利用が多い若者をターゲットにした方が伸びる」と判断。その狙いは的を射、好調な時は一日に四〇万円以上もの売上げを記録する人気店となった。

店の立地に加え、もうひとつ強くこだわったのが料理の味。同店の自慢は、生肉を使った塩味の炭火焼き肉だ。「たれを使わない焼き肉は料理じゃないという人もいるが、こちらからいわせればたれに頼っている焼き肉店は本物じゃない。たれは肉の味や鮮度をごまかすための存在だから」と村山さん。

牛肉や豚肉などは鮮度と質を吟味して仕入れを行い、チルド肉や冷凍肉は一切使用しない。塩とコショウは独自の手法で二次加工し、さらに自然野菜から抽出したアミノ酸をブレンド。自家製の調味料に仕上げ、肉のうまみをきわだたせる。

味付けされた肉は、各テーブルに用意した七輪の上で炭火焼きするスタイル。油がはねないようにと、セラミック木炭を使用。焼き肉にはたれもあるが、やはり塩味のオーダーが圧倒的に多い。また、敷地内で6月中旬から9月中旬まで営業する屋外ビアガーデンも例年好評を得ている。

○店舗メモ

◆「サッポロ焼肉・大将」(札幌市豊平区西岡三条一一丁目、011・584・2929)/営業時間=午後5時~午後10時、年中無休/席数・坪数=五〇席(屋外ビアガーデン五〇席)・三〇坪(屋外ビアガーデン七〇坪)

○売れ筋メニューベスト3

〈一位〉塩ホルモン(五〇〇円=焼き上がったホルモンにレモンの香りをつけて)

〈二位〉塩ジンギスカン(五〇〇円=生の羊肉を軽くあぶってバターをつけて食べる)

〈三位〉塩味サガリ(九八〇円=肉汁が浮かび上がるのを待ってバターをつけて食べるステーキ感覚の焼き肉)

○私の愛用食材:生肉

ごまかしのきかない塩味焼き肉だからこそ、同店では肉の質にこだわる。例えば羊蹄山麓で自然飼育された牛は、「松坂牛よりコクがあってうまい」と村山さんはいう。北海道名物のジンギスカンも、同店のお薦めは塩味。生で食べられるほど新鮮な肉を使っているので、ジンギスカン特有のにおいは一切感じられない。また、一般に臭みが強いとされているこの羊肉を「マトン刺身」と、生で食べさせてしまうところにも素材への自信がうかがえる。

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