料理人の教育法(2)旭硝子広尾寮・関口茂料理長

2000.10.02 213号 18面

「私たちの仕事は、お客様に満足してもらうかどうかがすべて」

そう語る関口茂旭硝子(株)広尾寮料理長が一番大切にしているのは、「調和」。目上の人の指示に従うことや、言葉使いに気をつけるのはもちろん、だれに対しても明るく接することの大切さを若い人たちに教えている。

「でも、お互い人間だから感情が出てしまうことはあるよ。私も怒ることはある。しかし、怒りっぱなしでは今の子はついてこない。どこかで守ってあげなくては」

難しいことではない。コミュニケーションをとろうという姿勢を、料理長自ら示せば良い。ミーティング中だけ業務連絡をするのではなく、時には個人的に「今日のメニューは○○だよ」と説明するのも一つ。洗い場の人に、今日の料理の残り具合を聞いたりするのも良い。洗い場は、客の反応が一番分かるところ。若い人たちにも、洗い場の人と積極的に仲良くするように指導しているという。

今は昔と比べ、専門学校を出てから店に入る人が増えてきた。もちろん、店に入った当初は、学校を出ていない人と比べて技術的な差はある。しかし、即戦力として使える人はほとんどいないという。

「だからこそ、言うんです。料理を作っている者だけでは料理はできないと」

いくら腕の良い料理人が料理を作っても、雑な給仕では、その料理は台無しになる。また、いくら気の利く女将がいても、いい加減な料理では、客は必ず見抜く。

「従業員みんなが一つになれば、そのままお客様に通じます。お客様に笑顔で帰っていただくのが、一番うれしいですからね」と、料理長は実感のこもった笑顔を見せた。

◆旭硝子(株)広尾寮=東京都渋谷区広尾二‐一八‐一八、03・3406・0702

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