飲食の宅配ニーズが高まるなか、インターネットによる「宅配検索サイト」が次々に現れている。郵便番号や局番を入力すると、その地区の宅配店舗とサービス内容を検索・表示案内するもので、オンラインオーダーも可能だ。従来の販促（チラシ）代替として検索サイトが認知普及すれば、店側は大幅な省力化が見込め、これまで宅配に手をこまねいてきた飲食店の参入も容易になる。宅配インフラとしてブームの火付け役となるか否か、検索サイトの先駆「出前館」の花蜜社長に聞いた。

‐‐オンライン受注できる宅配サイトとして、御社が一番に名乗りを上げた。

花蜜　サイトのコンセプトは、インターネットのヘビーユーザーではなく、宅配という身近なサービスから初心者をオンライン取引に巻き込んでいくこと。

一方、加盟店については、出店料を無料にし、代わりに、「出前館」のアドレスを必ず各店が配布しているチラシに入れてもらうことを条件にした。

しがないベンチャーなので、大々的に広告宣伝費はかけられない。このチラシでの告知が柱になった。一社でまくチラシには限界があるが、加盟店全体となればそれだけ人の目に触れる機会も多くなる。

また加盟店は、ピザやすしなどいろいろな種類に分かれるので、消費者は一店のチラシで「出前館」を知って、今度はそこから別のメニューのチェーンに注文することもある。相乗効果で加盟店の売上げも伸びる。

うちに加盟して、まだチラシの準備ができていないチェーン店でも、早速注文が入って、その効果にびっくりしていた。

ただ同一地区に競合店がバッティングする場合は、競合店が検索できない「出前館」をオプションで設定できるようにしている。

‐‐消費者への販促は。

花蜜　「ネットで注文すればお得だから使おう」という簡単な発想から、消費者をインターネットに導こうと考えた。加盟店には、割引やサイドメニューのプレゼントなどの特典を付けていただくようお願いしている。

また注文金額の一％がポイント（ＦＡＮ）となり、最高三〇〇万ＦＡＮでフェラーリがもらえるなど各種の景品を用意した。その結果、一度注文をいただくと非常にリピート率が高い。

チラシの場合は一度使ってなくしたりすることが多いが、インターネットならブックマークすることで、常にメニューを開くことができる。電話に比べリピート率は一・五倍だ。

‐‐御社は大阪が本社だが、６月には東京支社を出された。

花蜜　やはり全国展開を視野に考えると、東京が本部のところが多いので、東京を攻めないと地方まで展開できない。

‐‐現在加盟している店数は。

花蜜　四六チェーン、五七二店舗。三二都道府県で検索できる店舗がある。年内には二〇〇〇店舗になる計画だ。

‐‐御社の手数料は。

花蜜　ネット注文の売上げに対し五％をいただいている。

‐‐注文総数に占めるネットの割合はどれくらいか。

花蜜　まだ現状としては低い。ピザで一店舗当たり三～五件ぐらいか。

しかしネットで注文すれば必ず得になるシステムだから、電話同様に簡単に注文できれば必ずネットを使うと思う。

一店舗五〇〇万円の売上げの宅配店の二割がネットオーダーになれば、うちの手数料は五万円。二〇〇〇店舗で一億円の収益になる。

‐‐消費者の登録数は。

花蜜　三〇〇〇人強。最近は加速がついて、一日何百人という登録がある。オンラインショッピングモールのランキング（エキサイトのＨＰ）で、一位は楽天だがうちが一八位まで急浮上してきた。これはあっという間に楽天を超すぞと思っている。

‐‐今後の展開は。

花蜜　最終的には宅配というカテゴリーにこだわらず、「夢の街」という総合ショッピングモールをつくっていきたい。

楽天のようにややこしくなく、初心者にも分かりやすく何でも買え、情報も手に入る。その特徴は、地域密着のものができること。

酒屋などの地元の店や、地域限定の商品などを巻き込んでいけることがうちのメリットだと思う。スーパーやクリーニングも考えられ、家まで来るサービスなら何でもありだ。

二年後には、ケーブルテレビの画面でもっと簡単に操作して注文できる時代がくる。そうなると、ネットオーダーの比率も飛躍的に伸びるだろう。

●プロフィル

◆はなみつ・のぶゆき=昭和４４年生まれ。高校卒業後、フリーターやプログラマー、バーテンダーなどの職を経て、平成３年にバイク便の会社を設立。以後、印刷や出版、保険代理業などを手がける。平成１１年９月に「夢の街創造委員会（株）」を設立、代表取締役に就任。

◆「夢の街創造委員会（株）」／本社=大阪市天王寺区逢阪一‐三‐三五、０６・６７７０・２２４４／東京支社=東京都渋谷区桜丘町三‐九、渋谷山手ビル２Ｆ、０３・５４２８・１８４４／資本金=一億円／サイトアドレス=ｈｔｔｐ://ｄｅｍａｅ-ｃａｎ.ｃｏｍ/