全日本中国料理コンクール、香港で決勝大会
去る3月7日、香港職業訓練局所轄の訓練施設「中華中芸学院」で、 日本中国料理協会(揚井國雄会長、東京都新宿区、03・3369・1630)の主催による「第三回青年調理士のための全日本中国料理コンクール」の決勝大会が行われた。李錦記有限公司(業務用製品総発売元=(株)大榮貿易公司、東京都千代田区、03・3234・5401)や日本航空などが特別協賛した。
このコンクールは、四〇歳以下の青年調理師を対象に、二年に一度中国料理の調理技術や技能の向上や後継者の育成などを目的に全国規模で開催され、過去二回は日本で行われていたが、今回初めて、海外の香港で開催されたもの。
魚介料理、畜禽料理、デザート、定食による予選を経て四〇作品が選ばれ、香港での決勝に臨んだ。
決勝大会では、出来上がった作品を日本と地元香港の名だたる審査委員一六人が審査し、大會堂酒楼での表彰式では、後援の厚生労働省、農林水産省、国土交通省から下付された大臣賞を、梅津至駐香港日本総領事が手渡したのをはじめ、各賞の表彰状やメダル、トロフィーが受賞者に渡された。
◆部門別受賞者
○熱菜・魚介
▽一位・金賞(農林水産大臣賞)および李錦記最佳調味技術賞=山川稔「金銀千層海鮮(虎皮百花帯魚・芙蓉鮮貝燉蛋)」菊南温泉観光ホテル▽二位・銀賞(厚生労働省職業能力開発局長賞)=宮下真吾「竹 舞猛龍蝦」熊本ホテルキャッスル▽三位・銀賞(世界中国烹 連合会会長賞)および香港観光協会最佳外観賞=青山雄久「春花喜舞蝶」札幌グランドホテル▽四位・銅賞および中華厨芸学院美味大賞=竹原亨「三味蝦彩茶茶」熊本ホテルキャッスル▽五位・銅賞=隈元香蔵「五福彩琵琶魚」聖兆
○熱菜・畜禽
▽一位・金賞(厚生労働大臣賞)=金井純一「蕃茄牛鴨肝彩球」新高輪プリンスホテル▽二位・銀賞(厚生労働省職業能力開発局長賞)=岡本淳司「檸檬燻呑鶏」雁飯店中国割烹大岩▽三位・銀賞(世界中国烹 連合会会長賞)および中華厨芸学院美味大賞=澤田純治「新世紀鴛鴦肝(水果巻鵝肝、馬肝洋 )」菊南温泉観光ホテル▽四位銅賞=花田勝彦「洋珍鴕鳥三味」ホテルグリーンピア大沼▽五位・銅賞=杉本周三「火把明 鵝肝鴨串」熊本ホテルキャッスル
○デザート
▽一位・金賞(国土交通大臣賞)および中華厨芸学院美味大賞、香港観光協会最佳外観賞、李錦記最佳調味技術賞=竹中光弘「蓮子実甘藷双栗」名古屋ホテルオークラレストラン桃花林▽二位・銀賞(厚生労働省職業能力開発局長賞)=藤原博「黄金塔双輝」広島プリンスホテル▽三位・銀賞(世界中国烹 連合会会長賞)=坪谷俊夫「千層花籃酥」ホテル札幌ガーデンパレス赤坂四川飯店▽四位・銅賞=山口悟「湖来十鳳凰」品川プリンスホテル▽五位・銅賞=新谷英二郎「錦秀百燕慶歸巣」札幌グランドホテル
○定食
▽一位・金賞(厚生労働大臣賞)=松下康弘「健美彩彩御膳」熊本ホテルキャッスル▽二位・銀賞(厚生労働省職業能力開発局長賞)=松峰克次「錦繍上添花」フォレスト・イン昭和館レストラン花林▽三位・銀賞(世界中国烹 連合会会長賞)=天谷哲也「快食午餐譜」高輪プリンスホテル▽四位・銅賞および中華厨芸学院美味大賞、李錦記最佳調味技術賞=後藤真吾「活力維他命定食」サンシャインシティプリンスホテル▽五位・銅賞=井口和也「海鮮定食」幕張プリンスホテル
◆熱菜・魚介
〈課題〉魚介を使った中国料理の熱菜一品
〈規定〉主材料は魚介類。副材料は自由。一〇人分を直径四〇センチメートル以下の白丸皿に盛り、四人分を試食皿に盛る。原価は一〇人分五〇〇〇円以下とする。調理時間は一時間。
○金賞 山川稔・菊南温泉観光ホテル星花(熊本県) 「金銀千層海鮮(虎皮百花帯魚・芙蓉鮮貝燉蛋)」香港・海の幸・二種重ね蒸し(太刀魚黄金焼き ひおき貝豆乳ソース掛け)
【特色】
太刀魚に甜辣醤、ひおき貝に五種の大豆の産物を使い、 セルクルを合わせて滑らかな口当たりを大切にした。新感覚の盛りつけと色彩の美しさを心掛け、ライトでへルシーな料理に仕上げた。
【材料と作り方】
●虎皮百花帯魚=蝦仁、豚背脂、黒椒汁、塩、卵白、片栗粉で蝦 を作る。太刀魚に蝦 、野菜をはさみ、ラップで包んで蒸す。卵をつけ、煎して切り分け、甜辣醤、柚子マヨネーズ、XO醤をかけ、ブロッコリー、プチトマトを飾る。
●芙蓉鮮貝燉蛋=豆腐、蟹肉、柱侯醤、塩、卵白、片栗粉で豆腐ムースを作る。卵、スープ、葱、生姜、チリ鮑、塩を合わせて、茶碗蒸しの生地を作る。セルクルに豆腐揚、豆腐ムース、帆立、生湯葉、茶碗蒸しの生地、メレンゲの順に詰めて蒸す。貝殻の上に置き、豆乳、スープ、鮮味火鍋醤、紹興酒、塩、葱、鶏油で豆乳ソースを作ってかけ、キャビア、チャービル、枸杞の実を飾る。
【原価】四九八六円
◆熱菜・畜禽
〈課題〉畜禽を使った中国料理の熱菜一品
〈規定〉主材料は豚、牛、鶏、アヒルなどの畜禽類。副材料は自由。一〇人分を直径四〇センチメートル以下の白丸皿に盛り、四人分を試食皿に盛る。原価は一〇人分五〇〇〇円以下とする。調理時間は一時間。
○金賞 金井純一・新高輪プリンスホテル(東京都) 「蕃茄牛鴨肝彩球」牛カルビの醤油煮込みとフォアグラのトマト包み揚げ
【特色】
牛肉とフォアグラを合わせ、豆ノリと網油でトマトの色と形を作った。サクサク感と、とろけるような牛肉とフォアグラ、ほのかなトマトの酸味がマッチした、肉団子の概念をくつがえす作品。
【材料と作り方】
牛カルビは醤油、砂糖、葱、生姜、八角、桂皮で三時間煮込み、フォアグラは水、塩、砂糖、南乳、葱、生姜、胡麻油、胡椒を合わせて煮込み、煮汁に一晩浸けておく。冷えた牛肉を五ミリメートル角に切り、フォアグラと合わせて混ぜる。清湯ボウルの内側に網油と豆ノリを張り付け、牛肉とフォアグラを並べ、プチトマトを真ん中に入れ、手で丸く包む。片栗粉をまぶし、一六〇度Cの油でカラッと揚げる。春雨を油で揚げ、盛りつける。獅子唐辛子でヘタを作り、油に通してトマトに飾る。
【原価】四四三〇円
◆デザート
〈課題〉中国料理のデザート一品
〈規定〉中国料理の調理技能を生かすこと。材料の制限はなし。一〇人分を直径四〇センチメートル以下の白丸皿に盛り、四人分を試食皿に盛る。原価は一〇人分二五〇〇円以下とする。調理時間は一時間。
○金賞 竹中光弘・名古屋ホテルオークラレストラン桃花林(愛知県) 「蓮子実甘藷双栗」蓮の実と芋を使った栗甜心
【特色】
栗以外の材料で栗をイメージして作った。また、生地の食感、甘みの感じ方を火の通し方や作業によって違った感じを出してみた。
【材料と作り方】
●栗甜心(1)=強力粉、薄力粉、バター、塩で水皮、油皮を作る。水皮の上に油皮をのせて重ね合わせ、パイの型に入れて延ばす。砂糖、卵、バター、金時芋でクリームを作る。酥皮の型に蓮餡と漉し餡を重ねてのせクリームを上から絞る。オーブンで焼き、蜂蜜と檸檬のソースをぬる。
●栗甜心(2)=白玉粉、砂糖、浮き粉を合せて生地を作る。紫芋、蓮餡で餡を作る。蓮の実はアクをぬき、柔らかくなったら砂糖と梔子を入れる。生地の中に餡と蓮子を入れて丸める。表面に乾麺と白胡麻をつけ中温の油で中をモチッと揚げ、最後は高温で表面をカリッと揚げる。これをカットして、粉糖と粉シナモンをふりかける。
【原価】六一四円
◆定食
〈課題〉中国料理のセットメニュー
〈規定〉材料の制限はなし。熱菜二品とスープ一品、計三品をワンセットとする一人分の料理を二組(うち一組は試食用)作る。原価は一組八〇〇~一〇〇〇円の範囲内とする。熱菜の皿は直径二一センチメートル以下の白丸皿または長径二三センチメートル以下の白小判皿とし、スープの器は自由とする。調理時間は一時間。
○金賞 松下康弘・熊本ホテルキャッスル桃花源(熊本県) 「健美彩彩御膳」食欲増進健康定食
【特色】
魚介と鶏肉などのバランスのとれた食材を用いた。四川料理の辣を使い、ボリュームを出し、春捲の皮を揚げた器がポイント。スープは、ほとんど干貝の旨味だけで、あっさりとコクのあるものに仕上げた。
【材料と作り方】
●家常三鮮=紋甲烏賊片、帆立片に下味を入れる。殻付き蝦は塊、レタス、赤ピーマンは絲、黄ピーマン、アスパラはひし形に切り油通しをする。豆板醤、生唐辛子、韮、葱を炒め、油通しをした材料を入れ、砂糖、酒、酢、醤油、酒醸、味精、胡椒、スープ、水溶き片栗粉をからめる。
●生煎童鶏=鶏腿肉を下味し、小麦粉、卵をつけ、両面に焦げ目をつける。大蒜を炒め、スープ、醤油、牡蠣油、砂糖、味の素、胡麻油で味付けし、タカノツメ、鶏肉を入れて煮詰め、胡麻油を入れて適当な大ききに切る。
●蝦仁白蛋湯=スープに干貝、味清、酒、胡椒、切りの蝦を入れ、水溶き片栗粉で軽く固め、泡立てた卵白と鶏油を入れる。
【原価】八九七円